従来のバンキング・システムは技術的革新プロセスの最中にある。これはむしろ車のアップデート方法に似ている。新しい車のデザインは5年か、それくらいの年ごとに刷新され、その3年後にはナビゲーションシステムや、ラジエーターグリルの刷新、または馬力が強化されるなどのアップデートが行われることがある。銀行業界は特にシステムが再設計されるということはなく、最後に徹底的な見直しが行われたのは、ドットコムの時代のオンラインバンキングが確立した1世代前の話である。

今まで銀行が技術的最前線に立っていたことはない。常に5年から10年は時代に乗り遅れている。そしてついに今、メガバンクの1つであるサンタンデールが、50年続いてきたデビット/クレジットカード・システムという概念が、ビットコインとして知られる優れたオンライン決済テクノロジーによって危機に晒されていると認めたのである。

 

銀行が競合するならば消費者の勝ち

 

競争力は自然における最も優れた概念である。スポーツであれ、ビジネスであれ、またはアフリカのジャングルにおける生死をかけた戦いであれ、強いものだけが生き残る。規制の虜的状況下にあるため、ビットコインが発明される2009年までは、世界中の中央集権的バンキング・システムが町の唯一の賭け事で銀行には当てはまらなかった。しかし、今や最大29.99%もの利子をクレジットカードで決済する際に払う必要はなくなった。他に先進的な方法を利用できるからである。

サンタンデールは、特に利用する際にコストが一切発生せず仮想的に存在している点に関して、ビットコインには消費者に提供する明確なアドバンテージがあると考えているようだ。サンタンデール銀行は、火曜日に発行された新しいレポートの中で、もし、メインストリームがビットコインを選び様々な形で採用することになれば、デビットカードとクレジットカードは黒電話と同じ道をたどるだろうとコメントを寄せている―

 

「簡単に言いますと、低コスト且つ少ない手数料でビットコインによる取引が行える未来によって、クレジットカードやデビットカードを取り扱うビジネスモデル全体が危機に晒されると私たちは考えているのです。Visa、Mastercard、Eloといったブランドは、ビットコインの脅威からあまり影響を受けない可能性があり、銀行と同じようにブロックチェーンのコンセプトから恩恵を受けることで、トランザクションを低コストに抑え、ITコストやバックオフィスコストを下げることが可能でしょう。これは完全なるSWIFT (銀行の銀行間決済システム) に対する挑戦だと私たちは考えています」

 

今週の初めに、ビットコインとその技術が如何にグローバルな銀行間ドミナンスにとって脅威となるか判断するためのSWIFTによる詳細なビットコイン・リサーチに関連する記事をコインテレグラフは掲載している。

 

ビットコインは生きるべきか、死ぬべきか

 

ブラジル: 銀行と金融サービス―ビットコインは生きるべきか、死ぬべきか?”と、題されたレポートが、10万人以上のラテンアメリカ最大のビットコインブローカー企業であるMercado Bitcoinとサンタンデールがミーティングを行った後に提出されている。

同レポートの中で、サンタンデールは、”お金の未来”を利用することでプラスティックカードの未来を危機に晒す可能性のある次のようなアドバンテージ・リストを上げている―

 

  • 加盟店が30日後に着金を受け付ける (VS ビットコインのトランザクションは10分で完了する)
  • 消費者と加盟店にはカード契約が必要である (VS 契約の必要一切なし)
  • カード発行には仲介業者を必要とし、高い手数料がかかり―ブランドや発行元の銀行を必要とする (VS ビットコイン取引には物質的な費用はかからない)
  • 海外でのカード利用には地域的な税金がかかる (VS 税金はかからない)
  • ITやバックオフィス費用はトランザクションのプロセスに必要である (VS 手数料のかからない分散型のブロックチェーン)

 

上記の内容は、ビットコインコミュニティにおけるアーリーアダプターたちであれば既に何年も前から知っている主だったアドバンテージであり、時代遅れの銀行業界がやっと公に認めようと努力している事実である。

ところで、”サンタンデールって誰ですか?”と、問いたい人がいるかもしれない。サンタンデール銀行は世界最大の銀行であるだけでなく、世界最大の企業がその名を連ねたフォーチュン500のリストにも載っている企業でもある。サンタンデール銀行は世界で最も賞賛される企業として、フォード・モーターや、プロクター・アンド・ギャンブルのような勢力を抜いて2015年には37位にランクインしており、少なくとも彼らが発する意見は重要であるということが言えるのである。

レポートを通してみると、サンタンデールはむしろビットコインのコンセプトに虜になっているのではないかと思えるふしがある。彼らは去年の10月にイングランド銀行によって行われた総合的な資料調査を引き合いに出し、テロの資金源となっている1番のリソースは断然銀行からの送金によるものであり、ビットコインがそれに競合してテロに対しての資金援助に使われている可能性はほとんどないとして、明確に声明を出している。

そう遠くない未来、ビットコインが大規模にメインストリーム入りする、という文脈で言えば、サンタンデールは、「ついに、このレポートのタイトルに対する答えが”ビットコインは生きるべきである”という嚠喨たる言葉を以って、最終的に下される時が来るのだろうと我々は信じている」と、語っているに等しいだろう。