オーストリアの規制当局は仮想通貨とデジタル資産にまつわる手の込んだ投資詐欺が相次いで発生していることを受け、より厳格な仮想通貨規制法を求めている。

ブルームバーグが19日に報じたところによると、オーストリア金融市場機構(FMA)は、同国で報告された全ての金融詐欺の60パーセント超が仮想通貨投資商品に関わるものであることを明らかにした。

FMAによると、仮想通貨詐欺師はテレグラムやTikTokのようなソーシャルメディアプラットフォームを使用し、被害者予備軍に詐欺商品を宣伝していたという。

FMAの広報担当者、クラウス・グルベルニク氏は、こうした不正な投資活動の脅威を抑制するためにより厳格な仮想通貨規制法が必要だとして、次のように述べた。

「より厳格な規制が是非とも必要になっている。株と金の詐欺商品は大昔から存在しており、こうした詐欺が今では、派手に宣伝されているデジタル資産へと移行している」

仮想通貨詐欺に注意を促す報道が2020年に急増したのは、昨年コロナウイルスのパンデミックが始まった中で仮想通貨関連の詐欺が全般的に増加したことと無関係ではなさそうだ。

18年にはオーストリアのハルトヴィヒ・ロゲル財務相が、欧州連合(EU)全域にまたがる仮想通貨規制法を制定してマネーロンダリングと闘う必要を訴えた。

当時のロゲル氏のコメントは、被害者から1万2000ビットコイン(BTC)を巻き上げた「Optioment」というビットコインのピラミッド・スキーム(ネズミ講)が暴かれた直後になされたものだった。

オーストリアにおける仮想通貨投資詐欺の報告は増加しているように見えるものの、同国の伝統的取引所はデジタル資産取引の採用促進において今も中心的役割を果たし続けている。

ウィーン証券取引所をはじめとするプラットフォームは様々な仮想通貨ETP(上場投資商品)を上場しており、規制当局がいまだに仮想通貨ETF(上場投資信託)の取引を許可していない米国とは大きく状況が異なっている。

規制下で取引が行われていること以外にも、オーストリアでは仮想通貨決済が大きな注目を集めており、同国の通信事業大手による「A1ペイメント」が20年7月に仮想通貨決済の選択を可能にした。