仮想通貨の納税者は一体誰?【米税金専門弁護士による寄稿】

 ビットコインなどの仮想通貨は、米連邦税の制度下では資産扱いだ。資産の譲渡はすべて課税対象となりうるので、非常に厄介だ。米連邦税法では、仮想通貨同士の交換でさえ非課税対象にはならない。

 税法の下では、仮想通貨を非課税で取引できる手段を見つけない限り、取引は販売として取り扱われる。アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)は仮想通貨を資産とみなすが、では、仮想通貨の所有権とはどういうものか考えたことがあるだろうか?

 例えば、誰かのために仮想通貨を保有しているとする。その仮想通貨はあなたのものだろうか? 別の言い方をすれば、自分以外の人の利益を目的として仮想通貨を保有している場合、その利益にかかる税金は誰が支払う必要があるのか? 明確な答えが出ないかもしれない。

 一般的に、連邦所得税の納税義務は、地方の法律が定める所有権に基づいて割り当てられる、という点から議論を展開する。論点はひたすら事実に基づいたものになりうる。誰が税金を支払わなければならないのか、という問題は、誰がその資産に対する管理権を持ち、その資産から得られる利益および負担を有するのは誰か、という問題につながる。銀行口座でも同じ問題を議論できるだろう。

 名義上の所有者は一人かもしれないが、口座に預けられたお金は誰か別の人の利益のために効率良く預けられた信託かもしれない。そこで生じる利息にかかる税金の支払義務は誰にあるのか? さらに厄介なことに、地方の法律が定める所有権と受益所有権は必ずしも一致しない。優先される地方の法律の下で保証される資金に対する権利に関わらず、IRSは口座の受益所有者に課税しようと試みる可能性がある。推定では、連邦税の納税義務は、優先される管轄外(州など)の法律に基づいて配分される。

 しかし、IRSや裁判所は、地方の法律に目を止めず、受益所有者側に課税することがよくある。地方の法律の下では銀行口座の所有者ではなかったある男性が、その銀行口座の受益所有者として所得税の課税対象となった事例がある。反対に、代理人として何かを保有しているだけの場合、課税対象にはならないはずだ。

 誰かが「代理人として資産の法的所有権を保持する場合、課税目的では、その代理人ではなく本人が所有者だ」とした租税訴訟の事例がある。連邦所得税の課税目的では、名義上の所有者は所有者ではない。

 一般的に、代理人が共同署名者であったとしても、所得は本人に課税されることになっている。米国最高裁判所は、「法律では、本物の代理人によって保持された資産に発生する税は本人に帰すると考える」との判断を示している。米国最高裁判所は3部構成の代理人セーフハーバーを表明した。このセーフハーバーによると、次の3条件を満たせば、課税目的では所有者として取り扱われない:

 資産取得と同時に代理人との書面による代理人契約を締結し、

 代理人が常に当該資産に関する代理人としてもっぱら役割を果たし、

 代理人が当該資産に関連して第三者と対応する時は必ず、代理人の役割のみ果たす。

 上記の3つの条件をすべて満たさない場合はどうなるのか? 幸い、連邦租税裁判所は、この3つの要因は非独占的だとしている。口頭による代理人合意でも十分だ。しかし、租税訴訟で争うならば、書面による代理人契約書があると良い

 代理人が本物だと仮定すると、その代理人が支配権も受益権もない所得に対して課税されることはない。連邦租税裁判所は、受益所有権を「対象口座の資金を任意に処分する自由」と定義している。裁判所は次の要因を重視する:(1)対象資産の経済的利益を享受するのはどちらの当事者か? (2)所有権と支配権を持つのはどちらの当事者か? (3)当事者の意図。

 ある納税者が、4人の子の名前で4つの銀行口座を開いた。4つの口座に入金したが、その後、自分のビジネスベンチャーに役立てるために入金したお金を引き出した。彼は、4つの銀行口座を所有しているのは子供達なので、子供達が得た収益を報告しなかったと主張し続けた。

 IRSは納税を求め、父親は、当該銀行口座は彼の子供達の利益のみを目的としたものだと主張した。父親は、引き出しは融資に過ぎず、返済予定だと主張した。当然ながら、連邦租税裁判所は父親が受益所有者で、父親が税金を支払う必要があるという判決を出した。裁判所の判断は:

 「私たちが到達した結論は、収入をもたらす資産の真の所有者の識別に基づいたものだ。そのような審問では、単なる法的所有権に目を向けるのではなく、受益所有権に目を向ける。真の所有者を特徴付けるのは、当該資産への操作権、または、その経済的利益の享受だ。家族内で取引が行われる時、実際に1つの経済単位が2つ以上に増えないように、取り決めの特別な審査が必要だ」。

 「私たちは、(当該納税者の)長期的な意図に嘘偽りはないと考えるが、それでも尚、私たちは(当該納税者が)争点となっている期間中に、問題になっている複数の口座を所有していたという判断を下した。(当該納税者が)当該資産を最終的に彼の子供達の資産となるものと考えることができた状況は、争点となっている期間中に、該当資産に対して彼が行使した所有権と支配権の性質を変えるものではない。(当該納税者が)子供達の銀行口座にある金を入手し、使用し、彼自身のビジネスベンチャーに役立てたことは、彼を対象資産の解釈上の所有者とするものだ。したがって、私たちは彼が子供達の口座で得たすべての所得に課される税の納税者とみなす……」。

Robert W. Wood is a tax lawyer representing clients worldwide from offices at Wood LLP, in San Francisco (www.WoodLLP.com). He is the author of numerous tax books and frequently writes about taxes for Forbes.com, Tax Notes, and other publications. This discussion is not intended as legal advice.