アーサー・ヘイズ氏 ステーブルコインブームに警鐘 「多くは過大評価されて失敗する」

ビットメックス創業者のアーサー・ヘイズ氏は17日、今後のステーブルコイン企業の新規株式公開（IPO）ブームについて、「多くは過大評価されて失敗する」と警鐘を鳴らした。

ヘイズ氏はブログ投稿で、「サークルのIPOは“ステーブルコイン狂騒曲”の始まりに過ぎない」と述べ、今後上場する多くの新興企業は金融工学やレバレッジ、派手な演出で投資家の資金を集めようとするが、最終的にはバブル崩壊を迎えると予想している。

今後の上場企業は「サークルのコピーキャット（模倣者）になるだろう」と指摘したヘイズ氏は、「こういう銘柄は、熱々のジャガイモのように売買すべきだ」とし、熱狂の中で急騰・急落を繰り返す可能性があると述べた。

ただし、ヘイズ氏は空売り（ショート）を推奨しないと強調。「米国での仮想通貨支持の高まりやステーブルコイン熱狂のストーリーが、当面は株価を押し上げる」とし、「新たな銘柄はショート勢の顔面を吹き飛ばすことになるだろう」と述べた。

6月17日には、米上院がステーブルコイン規制法案の採決を予定しており、可決されればさらに熱狂が加速する可能性がある。

これについてはチェーンリンク共同創設者のセルゲイ・ナザロフ氏も、「米国でのステーブルコイン規制は、米国内外での新規ステーブルコインの波を引き起こす」と指摘している。

「新規ステーブルコインの成功確率は低い」　

ヘイズ氏は、ステーブルコイン発行者にとって最も重要なのは「どうやってプロダクトを流通させるか」だと述べた。

彼によれば、有効な流通チャネルは1）仮想通貨取引所、2）Web2型の巨大SNSプラットフォーム、3）既存の銀行に限定される。これらにアクセスできない新規企業には「成功のチャンスはない」という。

既存企業がすでにチャネルを押さえているため、新規参入者は高額の上場料や高利回りの報酬を支払う必要があり、SNS企業や銀行は自社で独自のステーブルコインを発行する可能性が高いとヘイズ氏は述べた。

「我々のように業界の最前線で長く戦ってきた人間からすると、ネクタイ姿の道化師たちが投資家を騙して“クソみたいな企業”に資金を集める光景は、ある意味滑稽でもある」と辛辣な意見を述べた。

ヘイズ氏は、今回上場したサークル（CRCL）についても「現時点では明らかに過大評価されている」と指摘した。同氏によれば、サークルは利息収入の50％をコインベースに渡しているにもかかわらず、「株価はしばらく高止まりする」とみる。

サークルは6月5日にIPOを完了しており、初日の取引終了時には株価が急騰した。

CRCLは6月16日時点で上場時から80％上昇し、過去最高値の165ドル直前まで到達している