仮想通貨取引所ビットメックスの共同創業者アーサー・ヘイズ氏は、米国がすでに押収済みのビットコイン(BTC)以上の量を国家準備金として追加購入する可能性は低いとの見解を示した。米政府の財政赤字の問題とBTC信者に対する世間のイメージがその背景にあるという。
ビットコイン購入のために紙幣増刷は非現実的
「戦略備蓄とかには正直あまり興味がない」とヘイズ氏は5月1日のインタビューで語った。
「米国は慢性的な財政赤字国であり、戦略備蓄をやるとしても、せいぜい押収したビットコインを売らずに保有し続けるくらいのものだ。まあ、20万BTCぐらいだろうね」とヘイズ氏は述べた。
「きちんと選挙で選ばれた政治家が、政府としてビットコイン購入のために紙幣を刷るなんて発表するのは現実的に考えにくい」とも指摘した。
「特に、世間では“ビットコイン野郎がナイトクラブで騒いでる”みたいなイメージが定着している中で、そんな政策を公にして本当に支持が得られると思うのか?」と疑問を投げかけている。
3月6日、米国のトランプ大統領はビットコイン戦略準備金とアルトコイン備蓄の創設に関する大統領令に署名した。米国は現在、19万8012BTC(約180億ドル相当)を保有しており、その多くはシルクロードやビットフィネックスのハッキング事件など、刑事・民事訴訟によって押収されたもので構成されている。
しかし、多くの仮想通貨業界関係者は、もし米政府が実際に市場でビットコインを買い始めた場合、各国による“買い争奪戦”が引き起こされる可能性があると懸念している。
取引所アグリゲーター「1inch」の共同創業者セルゲイ・クンツ氏は、ドバイで開催されたコインテレグラフ主催のイベントLONGITUDEで、「米国が本格的にビットコインを戦略準備金として買い始めれば、規模の小さい国はBTCを確保するのが難しくなるだろう」と述べた。
「そのうち、どの国がより多くのビットコインを保有するかで競争が始まるはずだ。まず米国が先陣を切るだろう」とも語っている。
ビットコインからアルトコインへのローテーションは健在か
ヘイズ氏は、2021年と同様に、ビットコインの強気サイクルからアルトコインシーズンへと移行する流れは変わらないと自信を示している。他のアナリストが異なる見解を示す中でも、そのスタンスは崩していない。
「ビットコインのドミナンス(市場支配率)は、2021年のアルトコインシーズン前と同じ約70%に戻ると考えている」とヘイズ氏は述べた。
また、ビットコインが過去最高値に接近すれば、強気市場が戻ってきたと捉えられ、「人々はアルトコインへと資金を移し始めるだけだ」と言う。「アルトコインがアウトパフォームするはずだ。何を買うかによるけどね」と付け加えている。
トレーディングビューによると、記事執筆時点でのビットコイン・ドミナンスは64.78%だ。1月1日時点の約57.59%だったが、そこから7ポイント以上の増加となっている