アルゼンチンでは、法定通貨ペソ安が止まらず、インフレ率が高まっている。CNBCによると、今年後半にアルゼンチンのペソは「危機モード」に入るという警告も出ているそうだ。一方、アルゼンチンのビットコイン取引高は急増しており、年初来と比べて165%以上増えている。
アルゼンチン「通貨危機」も
アルゼンチンのペソは、先月末1ドル=43.97ペソまで下落し、過去最低を記録した。また3日にアルゼンチンの中央銀行は、今年のインフレ率見通しを36%に上方修正。為替レートの2019年末の見通しは、1ドル=50.0ペソと、前回予想の48.0ペソから2.0ペソ安くなった。
一方、アルゼンチンの中央銀行は、インフレを抑えるため高い政策金利を維持。3月は60%台と高い水準で推移した(出典:ジェトロ)。
経済が好転しない中、「マーケットに友好的」ということで高い人気を獲得していたマクリ大統領の支持率も低下しているという。今年10月に行われるアルゼンチンの大統領選にマクリ大統領は再び出馬することを表明しているが、CNBCによると「アルゼンチン政府も中銀も選挙前にまた通貨危機に直面することを恐れている」とみる専門家もいるそうだ。
アルゼンチンの中央銀行は、昨年8月、ペソが下げ止まらない中、政策金利を60%引き上げた。また、マクリ大統領はIMF(国際通貨基金)に対して500億ドルの融資を前倒しで要請し、波紋を広げた。
アルゼンチンとビットコイン
一方、アルゼンチンでは、ビットコインに対する需要が高まっている。
Coindanceによると、4月6日までの1週間のビットコインの取引高は、1月6日までの1週間のビットコイン取引高と比べて165%も増加した。
(出典:coindance「アルゼンチンのビットコイン取引高(4月6日までの1週間)」)
このような仮想通貨需要を見込んでか、世界最大の仮想通貨取引所バイナンスのジャオ・チャンポン(通称CZ)CEOは、先月、アルゼンチンに法定通貨と仮想通貨の交換が可能な取引所を立ち上げることを示唆した。
アルゼンチン政府も動き出している。先日、バイナンス傘下の投資ファンドバイナンス・ラボとラテンアメリカの仮想通貨取引所LatamExが支援するプロジェクトに共同出資することが明らかになった。
法定通貨への信頼がなくなる時、避難通貨としての役割が期待される仮想通貨。昨年8月にはトルコの法定通貨リラが急落した結果、ビットコインの取引高が急増したと報じられた。
今年、アルゼンチンの「通貨危機」が仮想通貨市場にどのような影響を及ぼすのか?注視する必要があるだろう。