くすぶる悲観論…機関投資家は仮想通貨業界に結局来るのか?ーブロックチェーン・ドットコム、コインベース幹部の相次ぐ退社・入社取りやめ

機関投資家参入に向けて準備が着々と進んでいるはずではなかったのか。

仮想通貨ウォレットを提供するBlockchain.com(ブロックチェーン・ドットコム)に昨年8月に参画したウォール街のベテラン、ジェイミー・セルウェイ氏が、同社を退社していたことが分かった。同氏は、機関投資家向けビジネスを強化するために参画した経緯があり、機関投資家による仮想通貨業界参入に黄信号が灯っている可能性があるとThe Blockが先月28日に報じた

セルウェイ氏は電子証券取引所を運営するインベストメント・テクノロジー・グループ(ITG)の元幹部で、昨年8月に仮想通貨ウォレットを3200万人以上に提供するブロックチェーン・ドットコムに参画した際には、同社の機関投資家向けビジネス強化を象徴する人事としてフィナンシャル・タイムズでも大きく報じられていた

ITG在籍時にはかつてナスダックのCEOであるアデナ・フリードマン氏やコインベースの機関投資家向け営業トップのクリスティーン・サンドラー氏と同僚として働いた経験もあるセルウェイ氏。2017年にはSEC(米証券取引委員会)の取引市場局(trading and markets division)の局長候補として名前があがったこともあるほど、ウォール街では知名度、実績を持っていた人物。

ブロックチェーン・ドットコムは声明の中で、「ジェイミー氏は機関投資家向け市場の専門家であり、その分野のリーダーだが、機関投資家市場の発展が遅く、その分昨年はプロフェッショナル投資家の需要のほうが大きかった。我々は取引の実行、カストディー(資産管理)ソリューション、商品管理などのサービス強化支援に取り組んでいく予定だ」と述べている。

また、ブロックチェーン・ドットコムのピーター・スミCEOはThe Blockへのインタビューで「ブロックチェーン・ドットコムは機関投資家ではなくプロフェッショナル投資家により注力している」と発言。その上で「大口のファミリーオフィス、富裕層の個人、その他のクリプト系の企業やプロジェクトがより最終的な顧客構成要素である可能性が高い。機関投資家向け商品を立ち上げた時からこれらの3つのグループはターゲットであり、例え今後機関投資家の波が来たとしても、個人投資家やエコシステムが中心のスタンスは継続するつもりだ。」とも語っている。

コインベースでも…

今回のブロックチェーン・ドットコムでの人事は、1月上旬のコインベースでの人事とも合い通じるものがある。コインベースも機関投資家向けビジネスを強化するためにInstinet社のCEOだったジョナサン・ケルナー氏を招き入れる予定だったが、同社のウォールストリート強化の戦略からクリプト系のヘッジファンドやプロジェクト重視へのシフトがあったため、ケルナー氏の入社取りやめが明らかになった。

JPモルガンの悲観論

機関投資家参入に対する悲観論を唱える急先鋒はJPモルガンだろう。昨年末から相次いでこの県に件してレポートを出している。昨年12月には、仮想通貨急落で機関投資家の意欲は「しぼみ始めている」という見解を発表したと報じられた。また今月25日には、機関投資家による仮想通貨への関与が過去6ヵ月で急激に減っているとJPモルガンのアナリストが話したと報道された。

ウォール街の大手投資会社フィデリティが仮想通貨カストディ(資産管理)とブローカービジネスの立ち上げに向けて「最終テスト」段階にあることが明らかになったばかりで、機関投資家を更に呼び込む材料になるかもしれないと市場関係者から期待されている兆候がある。一方で、方向展開を決断している大手プレイヤーが存在していることも注視しておく必要がありそうだ。