ビットコイン(BTC)とエヌビディア株(NVDA)の値動きが、過去1年間で最も高い相関を示している。市場関係者の間では、1990年代後半のドットコムバブル(ITバブル)に匹敵する暴落リスクを懸念する声が強まっている。
AI取引がリスク増幅 仮想通貨市場にも連鎖?
世界最大の半導体メーカーであるエヌビディアとビットコインの52週間相関係数は0.75に上昇。両者がそろって過去最高値を更新した週に、相関が急速に高まった。
エヌビディア株は年初来で43.6%上昇し、木曜日には195.30ドルを突破。一方のビットコインは35.25%上昇し、月曜日に12万6270ドルを超えた。
この「歩調を合わせた上昇」は、トレーダーがビットコインをハイベータなテック資産として扱っている可能性を示唆している。だがその一方で、「AIバブル」への懸念も広がっており、アナリストの一部は1990年代末のITバブルの狂騒との類似点を指摘している。
市場コメンテーターのザ・グレート・マーティス氏は、現在のAIと仮想通貨の同時上昇を「ダブルバブル」と表現した。
AI関連の投資熱は過熱の一途をたどっている。今週、OpenAIは数年にわたり数百億ドル規模でAMD製チップを購入する契約を締結。AMDはOpenAIの大株主の一角となる見込みだ。
この動きにより、一部のAI企業が互いに出資・投資し合う「AIマネーループ」が形成されつつある。例えばOpenAIは、オラクルと3000億ドル規模の契約を結んでおり、オラクルはエヌビディアの戦略的パートナーでもある。さらに、エヌビディア自身もOpenAIに1000億ドルを投資する計画を明らかにしている。
また、エヌビディアとOpenAIはいずれもクラウド企業コアウィーブに巨額投資を実施。エヌビディアは63億ドル分のサービスを購入し、オープンAIは最大224億ドルの契約を結んでいる。
つまり、これらAI企業は互いに資金を循環させる構造を築いており、AMDもその輪に加わることで「自己強化的な資金循環」が完成しつつある。アナリストらはこれを「大きな危険信号」と呼んでいる。
この構図は、シスコシステムズが自社機器の需要を支えるために融資を拡大し、結果的にバブルを膨張させたITバブル時の構造を彷彿とさせる。
マーティス氏は「人々はドットコムバブルがナスダックを80%暴落させたことを忘れがちだ」と述べたうえで、「現在も同様の過剰な熱狂が存在し、1兆ドル規模の仮想通貨セクターはポンジスキームに酷似している」と警鐘を鳴らした。
「AI・仮想通貨・量子・原子力」バブルへの警告
トレーダーのアダム・クー氏も、AIと仮想通貨のブームが終焉を迎えた際には、ビットコインが最大の敗者の1つになる可能性を指摘した。
クー氏は、2000〜2002年の暴落時にウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイがテック株を一切保有せず、コカ・コーラやアメリカン・エキスプレス、ムーディーズなどの収益企業を保有することで80%の上昇を遂げたことを例に挙げた。
「資金はテクノロジーから離れ、非テクノロジー分野に流れた」とクー氏は語る。「AI/仮想通貨/量子/原子力バブルが崩壊すれば、これらの過大評価かつ非収益的な銘柄は50〜80%の下落を経験するだろう」と続けた。
バフェット氏はエヌビディアやAMD株を保有しておらず、ビットコインについても「殺鼠剤の二乗」と過去に呼んでいた。同氏は現在、過去最高の3500億ドルの現金を保有しており、これは2000年のテックバブル崩壊前に見せたバークシャーの慎重な姿勢を想起させる。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。
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