データ分析会社バイトツリーのレポートで、仮想通貨(暗号資産)ビットコイン(BTC)の価格モデルとして人気のあるストック・フローモデル(S2F)を否定している。S2Fモデルは1年後には10万ドルを超えるなど、ビットコインについて非常に楽観的な予測をしている。

バイトツリーの共同創設者兼最高投資責任者のチャーリー・モリス氏は4章で構成されるレポート全体で「論破」を試みている。
S2Fモデルは、金や銀などのコモディティの価格を予想するために何十年も使われてきた。ストックは資産の既存の供給量のことで、フローは新たに発生する資産供給量を指す。ビットコインではインフレ率やフローが徐々に小さくなることでストック・フロー比率が徐々に高まるそのため、価格上昇が起きるとされる。
しかし、モリス氏はビットコイン価格は供給側の経済によって決定されるものではないと主張。経済は、市場の新しい均衡に達するまでの需要と供給の両面で調整されると主張する。ビットコインの供給は固定されているため、価格を決定するのは需要側に委ねられると持論を展開した。
モリス氏はS2Fモデルのもう一つの問題点として、新たにマイニングされたコインが、まるで唯一の販売できるものとして、過大評価されていると指摘。「しかしビットコインを所有している人なら誰でも売却できる」と主張した。さらにはネットワークの力学が変化していることも指摘している。
「ネットワークが大きなストックを持ち、比較的小さなフローを持っているとき、重要なのはストックだ。フローが小さくなると、市場価格に影響を与える上で重要性が低くなる」

また、ビットコインマイナーの役割が、時間の経過とともに減少しているという。これは時価総額に対する収益比率が減少していることにも示されている。
「マイナーはかつて、毎年時価総額の50%を稼いでいた。当時、彼らは価格に大きな影響力を持っていたが、今では1.7%だ。同様に、かつては取引額全体の68%を占めていたが、現在では3.9%にまで落ち込んでいる。」
モリス氏はマイナーがネットワークの管理者として重要な役割を果たしていることを認めているものの「しかし経済的な影響は減少している」と指摘した。
モリス氏はネットワークの本質的な価値となる、ビットコインの実際の利用と採用をS2Fモデルには考慮されていないとする。
「私は、ビットコインは繁栄している強力なデジタルネットワークを表していると考えている。ビットコインは、利益もCEOもいないテクノロジー株のようなものだが、高い安全性と分配性とアプリケーションが増大している。ビットコインの価格が上がったり下がったりする理由はたくさんあるが、S2Fはその中の一つではない。」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン