ニューヨーク州で仮想通貨事業を行うために必要な「ビットライセンス」の廃止を求める訴訟が、ニューヨーク州の上訴裁判所で審理されることになる。上訴裁判所はニューヨーク州の最上級審を行う裁判所だ(ほかの州での最高裁にあたる)。

原告は、かつてニューヨークでの仮想通貨ビジネスを計画していたセオ・チノ氏と彼の企業であるチノLtd. 。2015年に導入されたビットライセンスによって仮想通貨関連ビジネスをやめなければならなかったとして、2015年にニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)を相手取り、訴訟に踏み切った。

ニューヨーク州の最高裁判所に控訴したのは9月17日だ。

チノ氏は、ビットライセンスがビットコインに代表される「仮想通貨」と関わる全てのビジネスに対して12以上の異なる義務を課すなど、必要以上にビジネス側に負担をかけていると主張。「コストは少なくとも5万ドル~10万ドル(約540万円~1080万円)かかると見積もられており、ほぼ全てのニューヨーク拠点のスタートアップが拠点を変更している」と規制の厳しさに警鐘を鳴らした。

チノ氏の会社は、ニューヨークにあるスペイン系の食品雑貨店、小さな雑貨店、コンビニなど日常の支払い手段としてビットコインを普及させることを目指していたという。

米国の規制の厳しさから、国外に拠点を移す取引所が増えるとみる専門家もいる。

仮想通貨データ企業のザ・タイ(The Tie)創業者兼CEOのジョシュア・フランク氏は、「もし近い将来に規制の不透明感が払拭されなければ、さらに多くの取引所がオフショアに拠点を移す」とみている

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