イーサリアム(ETH)価格は先月、340ドルから350ドルのレンジに留まっているが、複数のオンチェーン上の指標は、回復が進んでいる可能性があることを示唆している。
仮想通貨データ分析企業のSantimentは最近、取引所への預金の数が9月はじめから減少していると指摘している。同社によれば、ETHを取引所に送信するために使用されるアドレスの数は、9月1日以降で53%減少している。
過去6ヶ月間のETHのデポジット 出典: Santiment
イーサに対する売り圧力は取引所では減少しているが、ネットワーク上の新規ユーザーの数は着実に増加している。
オンチェーン分析のグラスノード(Glassnode)からのデータは、少なくとも0.01ETHを保持しているアドレスの数が、過去最高の10,116,076に達したことを示している。
0.01ETH以上を保有しているアドレス数 出典: glassnode
この成長は主にDeFiセクターによって推進されている。イーサリアムウォレットであるMetaMaskは、月間アクティブユーザー数が100万人を超えたことを確認した。これは、2月から3倍に増加している。
仮想通貨のクジラは現在の価格で蓄積しており、アルトコインが低価格であると彼らが信じていることを示唆している。
市場のボラティリティが高いが、ETHは2020年にトップパフォーマーであり、アルトコインは依然としてビットコインから得られる利益を大幅に上回っている。
ビットコインとETHのパフォーマンス. 出典: Digital Assets Data
Santimentによると、上位100頭のETHのクジラは、過去40日間にわたってETHを積み重ねており、これらのアドレスはこの期間中に370万ETH以上を持つほどになっている。
DeFiのアクティビティは拡大し続けている
分散型金融(DeFi)セクターは2020年に仮想通貨の世界で支配的になっており、それがETHやほかのデジタル資産への関心が高まっている主な理由の1つだ。
DeFiセクターの成長はまた、イーサリアムのユースケースを強化し、レイヤー2テクノロジーを提供するブロックチェーンネットワークにスポットライトを当てている。
DeFiでロックされた総価値 出典: Digital Assets Data
9月、DeFiトークンの価格は大打撃を受けたが、セクター内のユーザーアクティビティは依然として堅調だ。
Digital Assets DataとDeFi Pulseによれば、DeFiでロックされた総価値は105億ドルとなっており、過去30日間で26%増加している。
セクター内の取引活動もまた、新たな高値に達している。たとえば、分散型取引所Uniswapは、9月に取引高が153億ドルを記録し、コインベースを上回った。
イーサリアム内のほかのエリアでも、活動が増加している。Non-fungible.comのデータによると、ノンファンジブルトークン(NFT)セクターの9月の取引高は770万ドルを超えている。
DeFiが経験している成長痛
オンチェーン分析はイーサの強気な状況を示しているが、ネットワークの混雑と高額な手数料が引き続き問題となっており、イーサリアムブロックチェーンは現在弱い基盤に置かれていることに留意する必要があるだろう。
これにより、開発者や様々なDeFiプラットフォームは、レイヤー2テクノロジーを提供するブロックチェーンネットワークの検索と実験を開始した。レイヤー2ソリューションの統合によって、ETH需要が減少する可能性は低いが、ほかにも脅威となる存在が形成されている。
先週、米商品先物取引委員会(CFTC)と司法省はデリバティブ取引所ビットメックスを銀行秘密法に違反したとして刑事告発し、共同創設者の1人を逮捕した。
また10月5日、米司法省はジョン・マカフィー氏が脱税でスペインで逮捕したと発表した。米証券取引委員会(SEC)の訴状によると、マカフィー氏は2017年11月から2018年2月まで「自身の名声を使って少なくとも7つの”イニシャル・コイン・オファリング”(ICO)をツイッターのフォロワーに対して推薦し、申告なしで2310万ドル(約24億円)を稼いだ」という。
規制当局が、仮想通貨の投資商品やサービスを宣伝するために法律を回避する企業や個人に狙いを定めていることを示している。
Uniswapのような分散型取引所にはKYCやAMLポリシーがないことを考えると、DeFiにおいても規制当局のターゲットになる可能性があるだろう。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン