バグやユーザーの操作ミスによって永久に失われたイーサリアム(ETH)の総量は、現在までに91万3111ETHに達しており、これは流通供給量の約0.76%に相当する。
コインベースのプロダクト責任者コナー・グローガン氏は20日にXでこの推定値を共有し、これらの失われたETHは、現在の市場価格で約34億3000万ドルに相当すると述べている。
さらに、2021年から導入されたイーサリアム改善提案1559(EIP-1559)によりバーンされた530万ETHを含めると、失われたETHの割合はさらに大きくなる。
グローガン氏によれば、EIP-1559によるバーン分を含めた場合、失われたETHの総量は約620万ETH(234億ドル)に達し、現在の供給量1億2070万ETHのうち約5%を占めるという。
2023年3月以降、失われたETHの量は44%増加
2023年3月に発表された同様のレポートでは、バグやユーザーエラーによって失われたETHは63万6000ETHだった。そこからの増加率は約44%となっている。
とはいえ、主要な損失要因は大きく変わっていない。最新の報告でも、グローガン氏が2023年3月にまとめた主要事例と同様の内容が挙げられている。
両レポートでは、Web3財団のパリティ・マルチシグのバグによる30万6000ETHの損失、クアドリガが誤ったコントラクトで失った6万ETH、アクターズによる非代替性トークン(NFT)の不適切なミントで失われた1万1500ETHなどが具体的に言及されている。
このうち、変動があったのはバーンアドレスへの送金で、さらに1000ETHが追加された。
「誤解のないように言えば、この34億ドルという数字は実際の失われた、またはアクセス不能なETHの総量を大きく下回っている」とグローガン氏は最新の投稿で説明している。
「例えば、紛失した秘密鍵や、忘れられたジェネシスウォレットなどは、この推定には含まれていない」とも付け加えている。
イーサリアムの供給量は柔軟に設計されている
ビットコイン(BTC)が2100万枚という供給上限を持っているのに対し、イーサリアムには発行量の上限は存在しない。
とはいえ、ETHの新規発行量は、EIP-1559とマージ(The Merge)の2大アップグレードによって大きく制限されてきた。
EIP-1559は2021年8月にロンドン・ハードフォークの一環として導入され、手数料の一部を自動的にバーン(焼却)することで、流通供給量を徐々に減少させる仕組みとなっている。
マージは2022年9月に完了し、イーサリアムのネットワークをプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へと移行させた。これにより、新規ETHの発行量は大幅に削減された。
YChartsのデータによると、イーサリアムの供給量は2020年から2022年にかけて着実に増加し、2022年9月には1億2050万ETHに達した。
その後、発行量の減少とETHバーンの継続により、2024年4月までに供給量は約0.4%減少した。その後は再び緩やかな増加傾向に入り、記事執筆時点で供給量は約1億2070万ETHに戻っている。
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