信用の所在:ブロックショーで議論されるリスク評価の方法

月曜、著名なトレーダーであるトーン・ベイズ氏のビットメックスの口座が突然閉鎖されたというニュースが入ってきた。この閉鎖が、本日のBCHハードフォークに関するコメントに起因するものなのかどうか、憶測を生んでいる。ツイッターだけで約17万人ものフォロワーを持つベイズ氏は、元JPモルガン・チェースのヴァイスプレジデントで、仮想通貨取引の分野では高い影響力を持つ。そのため、同氏の口座が閉鎖されたことで、取引所の規制に関する議論に火が着いた。今月末に開催されるブロックショーのアジア・ブロックチェーン・ウィークにベイズ氏が登場するのに先立ち、そのような事態が明らかになったことで、仮想通貨取引を規制する現在の経済的枠組みに関し、さらなる疑問が持ち上がるのは間違いないだろう。特に、先週広く報道された通り、中国で仮想通貨の所有が認められるとの見通しを考慮すれば、なおさらである。

ビットメックスのサービス規約は、もし口座の所有者が米国市民であると判明した場合、仮想通貨取引所に関する厳格なSEC規制を理由として、当該口座を閉鎖することができると規定している。しかしベイズ氏の口座閉鎖は、そのタイミングから、この規定が適用されたか疑わしい。フォロワーたちからも同じような体験について報告があり、ベイズ氏のようにVPN経由でサービスを利用していたユーザーの中には、突然の口座閉鎖のために資金を失った者もいた。ベイズ氏の場合、同取引所が公表したビットコインキャッシュのフォークに関する方針を客観的に批判したわずか数時間後に、口座が閉鎖された。折しもこの時同じようなタイミングで、同氏のユーチューブチャンネルも停止されている。私たちはこれらの出来事に関し、ベイズ氏の視点から詳しい情報を得るため、同氏に連絡を取った。

ビットメックスが利用できなくなっても、ベイズ氏の取引に関しては重大な影響はなさそうである。しかし同氏は自身の収入について、プラットフォームのユーザーを拡大するために割引手数料を提供して関係者を勧誘し、他のユーザー導入者たちと残っている手数料を分け合うアフィリエイトプログラムが大きな割合を占めていることを公表していた。同氏は主にライブ配信に表示する招待用リンクを通して、これまでビットメックスに900人以上のトレーダーをもたらしてきた。そのため同氏のアカウント閉鎖に先立ち何の連絡もなかったことは、理にかなっていないように思える。私たちは同氏に対し、そのような観点から他のビットメックスユーザーに何か共有できる助言があるか聞いた。ベイズ氏の返答は次のようなものだった。

「ユーザーたちへの助言は、今でも3年前のものと変わらない。規制を受けていない取引所は匿名で取引できるが、いつか終わる。米国の金融規制が及ばない主要国は、ロシアと中国(またはイラクや北朝鮮のような制裁措置を受けている国)だけだ。従って、利用している取引所の本拠地や、その従業員全員の国籍と居住地がそのような国である場合を除き、取引所が続いている間に取引を楽しもう」

米国の読者にとって、これは驚くような話ではないだろう。そして多くの人が今後も自分の身元を隠し、規制を回避するために、VPNソリューションを使い続けるだろう。しかし指摘しておくべき重要な点は、トレーダーの多くを米国民が占めているということだ。ある非公式の調査は、その割合を23%としている。それらの中には、SEC等の組織により実施された厳格な規制内で取引しているトレーダーもいることは疑いない(SECはかつて、この分野を「無秩序の混乱状態」と呼んでいた)。しかしさらに多くのトレーダーたちが、取引所へのアクセスをVPNやその他のツールを頼り、当該規制を回避して取引しようとするだろう。ベイズ氏は規制機関からの圧力が徐々に高まっていることを考慮し、それら未規制の取引所の未来について次のように考察した。

「メールアドレスだけで仮想通貨の取引をさせてくれる取引所は全て、最終的に次の4種類のうちの1つになるだろう。ポロニエックスのように匿名から規制順守に舵を切るところ。BTC-eのように運営を停止させられた後でさえ匿名での運用を続けようとするところ。クリプトプシーのようにCEOがお金を持って逃げるところ。あるいは、SEC/CFTCにより閉鎖させられた後のワンブローカーのように、トレーダーにお金を返すかもしれないところだ」

あらゆるトレーダーが言う通り、自分の資金を1つの取引所にだけ置いておくというのは最悪の考え方である。信用に値するところはほとんどなく、クリプトプシーで実際に起こったように、次にログインした時にもそこにお金があるかどうかは知りようがない。しかし取引するためにはリスクをとって、短い間だけだとしてもプラットフォームを信用するしかない。では、利用するプラットフォームが「安全」であるかどうかは、どのようにして判断すれば良いのだろうか?この質問に対するベイズ氏の答えは、次のようなものだった。

「それぞれの「安全」の定義による。私にとって最大の安全上のリスクは、どれくらいの仮想通貨を所有しているか知ろうとする政府だ。そのような場合、メールアドレスだけが必要で、自分の正体を誰も証明できない匿名取引所で取引することが「より安全」ということになる。一方で、未規制の取引所での取引は、取引所に置いておいた仮想通貨を全て失う可能性がずっと高い。取引所のオーナーがお金を持ち逃げする可能性がより高いだけではなく、規制機関により閉鎖されたり、口座が没収されたりするリスクも非常に高い」

そうすると、別のジレンマが残る。資金を怪しい取引所オーナーのリスクにさらして、かつて仮想通貨が悪名を馳せたプライバシーを維持するか、あるいは政府が取引に対して望みもしない関心を示すリスクを受け入れるかだ。今月のアジア・ブロックチェーン・ウィークでは、「政府がブロックチェーンを乗っ取る:そこから学ぶ教訓は?」というテーマのセッションで、この最新の問題を議論する。今やブロックチェーンは政治的な関心を引き付けており、規制は強くなる一方だろう。一方でトレーダーたちは、政府から資格付けさえるのを回避する方法を探し続けるだろう。この問題については、ブロックショーでその後に行われるセッション「OTC仮想通貨取引 vs 伝統的取引所」で取り上げられる。

ベイズ氏が自身のアカウントの閉鎖について調査していた同じ時に、75000人以上の視聴者を持つ同氏のユーチューブチャンネルも停止された。チャンネルの停止は、「#OnTheRecord w/ @ProfFaustus - #BCash ( $BCH vs $BSV) ハードフォーク」と題されたライブ配信を設定した約10分後に、配信がまだ始まっていないにも関わらず起こった。これは、同時期に起こったビットメックスでのトラブルが密接に関係しているように思え、ベイズ氏に意見を求めてみた。

「自分のアカウントが配信を止められた理由については何も聞いておらず、不服を申請すると数日で回復した。最も有力な説は、グーグルのAIがタイトルを誤解したという推測だ。タイトルは「ハードフォーク」という言葉で終わっており、考えられるとすれば、AIがそれをインタビュー以外の何かの動画が配信されると考え、自動的にフラグが立てられたのだろう」

従って、当該出来事に関する共謀説は、この面において退けられるように思える。ベイズ氏にとってはストレスの多い数日だった。ビットメックスのアフィリエイトプログラムに対する同氏の貢献に関して連絡がない件については、未だに解決していない。私たちにとっても、この業界の規制面がどのように運用されているのか知るのは重要なことである。未規制の取引所の「グレーエリア」であろうと、規制順守に対する厳しい監視の下であろうと、リスクはある。今月開催されるブロックショー・アジアのようなカンファレンスに今後も登場するベイズ氏の体験は、議論をより合理的な規制のためのモデル作りに向けさせる役に立つに違いない。そしてそれにより、取引所を使うことのリスクや、取引所業界の信用のためのガイドラインを作ることについて、トレーダーたちを教育することができる。ベイズ氏が「取引所が続いている間は取引を楽しもう」と言うように、未規制の取引所が自由に運営されている現在の環境が過去のものとなるのは、時間の問題だろう。