NFTのマイナス面

ここ一年程で、NFTは誰もが認める形でメインストリームでの稼働を開始した。一部の熱狂的ファンが「Web3.0はインターネットを変える」と訴える一方で、これに警鐘を鳴らす評論家たちもいる。

おそらく最も深刻なのは、サスティナビリティの問題だろう。気温上昇から超大型台風やトルネード、干ばつの増加にいたるまで、今まで体験したことのなかったような気候が発生し、後戻りできない変化の訪れを予言している。ちょうど今年、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の2022年版報告書でも「地球上のエコシステムにすでに大きな被害をもたらしている異常気象に歯止めをかけるためには、早急な行動が求められる」との見解が示された。仮想通貨のマイニング活動による大量のエネルギー消費を指摘する評論家も多い。

では、ベンチャー企業に何ができるだろうか。NFT市場が過去数ヶ月で大きく勢いを増した中、各プロジェクトにおいては、活動による影響を抑え、エネルギー使用量を減らし、ユーザーに対して彼らの活動が気候に与える影響を啓発することができる。

グリーンなWeb3.0へ

STEPNは、プロジェクトの本分を尽くす以上のことを目指している。「アースアワー」(Earth Hour)のキャンペーンは、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みに光を当てる素晴らしい機会だった。

Move-and-earn(動いて稼ぐ)アプリのSTEPNは、屋外で体を動かしたユーザーに対して報酬を与える。トークンを稼ぐにはNFTマーケットプレイスからデジタルスニーカーを購入し、外を歩いたり走ったりする必要がある。このように、現実世界でのアクティビティをデジタルゲームと達成状況に結びつけることで、STEPNは日々のアプリ利用を報酬対象としながら健康習慣の構築を促す強力なアプリデザインを実現した。

健康向上以外にも、STEPNでは環境への影響削減に力を注いでいる。STEPNがどのようにその役割を果たしているか見てみよう。

A:Solanaブロックチェーン上に構築

まずは背景を説明しよう。ビットコインやイーサリアムは、プルーフ・オブ・ワーク(POW-コンピュータを使って複雑な数学問題を解くもの)と呼ばれる取引認証システムを用い、これが膨大な労力を要する複雑な機能であるために多量のエネルギーを使用する。世界中の多くのサーバーと、莫大な電力消費が不可欠だ。

一方でSTEPNが稼働するSolanaネットワークでは、プルーフ・オブ・ステーク(POS)を使う。より新式で、エネルギー負荷が格段に少ないPOSは、POWのシステムを覆すものだ。例えばイーサリアムは、今後1年のうちにPOWからPOSに切り替えると言われており、それによって実に99%もの消費エネルギーが削減できると考える人もいる。

さらにSolana Foundationでは、全体的な活動において、多くの企業資源を投じることで環境負荷削減を目指している。昨年は二酸化炭素排出削減の取り組みが功を奏し、Solanaネットワークが2021年のカーボンニュートラリティ目標を達成したと発表した。同ネットワークでは、2022年も年間を通じて脱酸素に向けた取り組みを続けるとし、また、ウェブサイト上で「Solanaによるエネルギー面の影響を常時監視し最小化することで、Solanaのエコシステムを確実に効率化させる」と約束している。同組織ではさらに、エネルギーと環境に関するアドバイザーとしてロバート・マーフィー(Robert Murphy)氏を採用し、環境努力に関する相談対応や専門的知識の提供を受けている。

B:二酸化炭素排出削減

STEPNでは、トレジャリーのプロフィット・プールの一部を寄付することで、ブロックチェーン上のCarbon Removal Credit購入に充てる計画を立てている。ユーザー啓蒙に向けた精神により、STEPNではGMTトークン所有者に投票権を与え、彼らにCO2削減に向けた寄付割合を決めてもらうことにしている。投票権を持たない人も、寄付の意思があれば稼いだGSTトークンをCarbon Creditの購入/焼却用に寄付することができるが、これは完全にボランティアベースだ。

STEPNは将来的に、Web3.0領域における気候関連のイノベーターとパートナーシップを構築することも視野に入れている。例えば「カーボンリムーバル 」のマーケットプレイスであるNoriは、様々なブランドにおける環境負荷削減を支えている。Noriの仕組みを簡潔に説明すると、あらゆる企業がカーボンフットプリントを計算し、ファーマーからカーボンリムーバルを直接購入し、さらにはリムーバルの実施を監査する第三者認証者に対価を提供することができる。

C:健康な人間と、健康な地球

最後に、STEPNはすでに20万人を超えたユーザーに対し、健康面から大きな変化をもたらしてきた。Move-to-earn(動いて稼ぐ)の仕組みの力と、ゲーム型エクササイズ、Web3.0を組み合わせたSTEPNには、日々のジョギングやウォーキングを習慣化すべき膨大な人口の背中を押すポテンシャルが備わっている。

それがなぜ重要なのか?答えは、「地球の健康と人間の健康が切っても切れない関係にある」という点にある。どちらか一方が改善すれば、もう一方も連動して改善したり、改善の原動力になったりするのだ。

気候条件が悪いと健康にマイナスの影響があることは明らかだ。例えば、大気汚染は毎年何百人もの命を奪っている。一方で逆も言える。人々が健康になることで、地球が健康になるのだ。これについては、個人が健康状態に気をつけるようになると、連鎖的に地球環境の持続可能性にも気を払うようになることを示した研究結果が複数ある。両者の健康に向けたアクションは、どうやら同時進行するものなのだ。実際に、Z世代を中心とした若い世代は、健康でサスティナブルな人生への願望を他の世代より強く訴えている。

今後はどうなる?

現代において最も差し迫った問題の一つである気候変動。Web3.0に関わる活動は時に非生産的に見えるが、必ずしもそれだけではない。

一人ひとりが世界を変える力を持っている。そしてそれは、環境意識を高めることであったり、よりグリーンな行動の選択であったり、その始まりはとても小さな一歩かもしれない。STEPNが一番に掲げるミッションは「世界中で何百人もの健康を向上させること」だが、同時に同プロジェクトはより環境にやさしい選択をし、我々が自分たちの惑星を大切にするよう、意識を改め改革を実行していくことを目指している。