ノンファンジブル・トークン(NFT)は、ブロックチェーン技術を応用した画期的な技術である。分散化され、信頼性が高く、改ざん不可能な台帳を活用することで、デジタル資産を購入したり再販する際の所有権を管理することができる。経済学のルールでいうと、10ドル紙幣は他の10ドル紙幣と簡単に交換できる。だが一方、ノンファンジブル(代替不可能)な資産は独自性が高く、交換することができない。NFTは、所有することも取引することもできる独自性の高いデジタル資産であり、その所有権の証明はブロックチェーン上に不変的に保存される。
NFTによって、アーティストは本物であることが証明可能で、なおかつ希少性の高いデジタルアートを制作することができるようになった。模倣品や著作権侵害、盗難品などの問題もこれで一挙に解決できる。しかし、NFTは実際、アートの世界を超えて実用化が可能だ。この記事ではNFTと、プロトコルとプロダクトレイヤーのブロックチェーンであるVerasityがどのようにeスポーツやゲーム業界にNFTを普及させているかをご紹介しよう。
NFT x スポーツ x ゲーミングの融合
NFTは、デジタル資産の独自性、オリジナリティ、出所を保証し、削除したり複製することができないため、長期にわたって価値を維持しやすいという特徴がある。当然のことながら、NFTのもつこのユニークな特徴によりすでに大量の資金が流入してきており、NFTの売上高は2020年10月の1,320万ドル強から2021年10月には21億3,000万ドルを超え、16,000%近くも増加している。
NFTの持つこの性質は、アーティスト、クリエーター、そしてデジタル/ビデオ/知識経済に関わる全ての人たちに新たな経済的チャンスをもたらしている。例えば、デジタルアーティストのBeepleが制作したビデオクリップ「Crossroads」は、当初67,000ドルで販売されていたが、後にNiftyで660万ドルで転売された。
しかし、NFTの用途は投機的な機会を提供するだけではなく、eスポーツやゲーム業界にはNFTを実用化するためのチャンスがあふれている。以下でeスポーツや様々なゲームにおけるNFTの最も革新的な使用例を紹介しよう。
ゲーム内の資産の具体化
eスポーツにおけるNFTの実用化の一例として、ゲーム内の資産、購入、ゲーム実績、ハイライト、大会、トロフィーなどに現実世界での価値を与えることが挙げられる。これまでは、ゲーム内で購入したものは購入者のゲーム世界の中だけで完結し、他のプレイヤーと取引や譲渡をする手段がなかった。しかし、2020年にVorhaus Advisors社が実施した調査によると、63%ものゲーマーが「バーチャルグッズに現実世界での価値があり、取引や販売が可能であればより多くのお金を使う」と回答。また、64%ものゲーマーが、「バーチャルグッズの価値が現実的に証明されれば、より頻繁にプレイするようになる」と回答してている。
NFTを使えば、ゲーム内で購入した商品の所有権を証明することができ、ベースボールカードを現金と交換するのと同じように譲渡や取引が可能になる。同様に、NFTでゲームのタイトル、記念品、トロフィーなどを保存することで、大会やeスポーツのイベント以外の場でも利用できるようになる。
eスポーツや各種ゲーム業界に新たな収益源を創出
NFTはゲーム内の資産の価値を高めるだけでなく、eスポーツやゲーム会社がバーチャルグッズの再販市場に正式に仕組みを導入し、グレーマーケットで発生するバーチャルグッズの需要を満たすことで、eスポーツやゲーム会社に新たな収益源をもたらしている(バーチャルグッズのグレーマーケットとは、ゲームやeスポーツ業界のバーチャルグッズが販売・流通されている、非公式・非公認・非意図的な二次市場のこと)
業界レポートによると、バーチャルグッズの中古取引の市場規模は約500億ドルと評価されている。 グレーマーケットの合法性・非合法性については議論の余地があるが、米国のライス大学の研究者が行った2021年の研究では、「グレーマーケットは製品の価格と品質の両方に悪影響を及ぼし、メーカーの利益にも影響を与える 」と断言されている。
また、NFTは再販ロイヤリティを通じて、eスポーツやゲーム会社に新たな収入源をもたらす。eスポーツやゲーム会社は、ゲーマーへの初期販売による収入に加え、NFTの再販により永続的に追加収入を得ることができるのだ。NFTは、ブロックチェーン(特にスマートコントラクト)を活用してロイヤリティの収集と支払いを行うことで、運用上の非効率性を排除することができるため、世界共通のロイヤリティ基準となる可能性すらある。
ゲームコンテンツのコモディティ化
eスポーツとバラエティゲームは、2019年にはそれぞれ11億ドル、1,510億6千ドルと評価される大規模産業として成長した。それにもかかわらず、ゲームの専門知識、パフォーマンス、および実績はeスポーツの世界でのみ評価されており、それ以外の業界ではまだ実力ほど高く評価されていない。
現在、NFTを活用することで大会のビデオ、ハイライト、映像、ドキュメンタリーなどの形で、独占的なゲームコンテンツをゲームコミュニティ以外の新しい顧客に向けて再販できるようになった。これにより、eスポーツのプレイヤーや愛好家に新たな市場機会がもたらされることとなる。また、ゲームコンテンツをNFTとして商品化することで、必ずしもゲーマーではないトレーダーや投資家にとっても価値を示すことができるだろう。
Verasity:eスポーツとゲーミングでNFTをいち早く採用
eスポーツやゲーム業界におけるNFTの利用において、Verasityが行っている取り組みは今後の業界標準となる可能性があると言える。Verasityは、ブロックチェーンを活用したゲームを構築するのではなく、ゲーム内およびゲーム外のNFTを導入することで、既存のゲーム、eスポーツ、仮想空間に携わる産業が交われる機会を引き出そうとしている。これらのNFTは仮想通貨ファンをeスポーツの世界に引き込むと同時に、ゲーミングコミュニティに価値の保存・追跡・転送における革命的な新技術を導入するといった点でも重要な役割を担っている。
また、Verasityは、デジタルコンテンツエコノミーに向けた、ブロックチェーンベースのプルーフ・オブ・ビュー( PoV:閲覧証明)技術を独自に開発した。これは特許取得済みの技術で、動画コンテンツのやり取りを透過的に記録することで、パブリッシャー、視聴者、広告主、動画配信プラットフォーム、その他動画経済のすべての関係者を保護してくれるため、ゲームコンテンツのコモディティ化においても価値を発揮することが期待される。
加えて、NFT詐欺を積極的に防止するために、同社はNFTアート、NFT販売者、NFTマーケットプレイスを透明性をもって認証する革新的なブロックチェーンソリューションを開発し、特許を取得した。このソリューションは、NFTの購入者が「正規の販売者から購入している」ことをコンテンツの真正性や詳細を検証しながら確認するもので、非デジタル世界での美術鑑定士のような存在だ。この革新的なソリューションによって、Verasityは、eスポーツやゲームプラットフォームのユーザーが詐欺被害に遭わないことを保証するとともに、NFT導入のリスクを軽減している。
産業界におけるブロックチェーンの導入は不可避のものとなっている。これだけの機会を提供するNFTを前にして、eスポーツやゲーム業界はもはやブロックチェーン技術を無視することはもはやできなくなってきているのが現状だ。Verasityは信頼性の高い不正防止機能を提供しているため、企業は安心してこの技術を採用し、自社や顧客のためにそのメリットを享受することができる。