前回は「DeFi最前線を担う代表的なプロジェクト」について取り上げた。実際には、最前線にいるプロジェクトと、よく使われているサービスを提供しているプロジェクトはしばしば異なるものである。そこで、今回は実際によく使われているDeFiサービスについて焦点を当てていく。

多くのDeFiサービスでは、流動性を供給するために暗号資産をスマートコントラクト上にロックする方法が採用されている。つまり、ロックされた資産の総額が多ければ多いほど、そのサービスはよく使われていると解釈できることができる。ちなみに、ロックされた資産総額は、より専門的な言葉で預け入れ資産総額(TVL:Total Value Locked)と呼ばれている。

以下は、DEFI PULSEに掲載されているTVLのランキングになる(2020年11月19日時点)。ここからは、1~5位についてざっと見ていく。

1位のMaker(メイカー)は、DeFiのエコシステムにおいて最も流通しているステーブルコインのDAI(ダイ)を発行することができるプラットフォームである。一般的なステーブルコインは、資産の裏付けに米ドルのような法定通貨を利用するが、DAIの裏付け資産は暗号資産になる。裏付け資産にはETHが使える他、USDCやBATなども利用することができる。しかし、裏付け資産の多くは価格変動が大きいため、Makerでは過剰担保を差し入れる形でDAIが発行できるようになっている。

2位のWBTCは、BTCをイーサリアム上で扱えるようにラッピングするためのプロジェクトである。多くのDeFiはイーサリアムのブロックチェーンで動いている一方で、BTCはビットコインのブロックチェーンが使われている。両者には互換性がない。つまり、BTCをイーサリアム上のDeFiで利用したい場合、何かしらのブリッジする仕組みが必要になり、WBTCがその役割を担うことになる。ユーザーは、BTCをカストディアンのBitGoに送ると、その量に応じたWBTCが発行されるようになっている。しかし、この仕組みはBitGoの信頼性に依存してしまう。そのため、不正されないように第三者により発行状況が検証できるようになっている。

3位のCompound(コンパウンド)は、暗号資産の貸し借りができるレンディングプラットフォームになる。借り手は暗号資産を担保として差し出すことによって、担保より少ない額の暗号資産を借りることができるようになっている。借り手が返済しないと、担保が取り上げられる。また、貸し手は流動性プールに資金を預け入れる事によって、借り手から支払われた利子を、利息として受け取ることができるようになっている。

4位のUniswap(ユニスワップ)は、最も取引高が多い分散型取引所(DEX)である。従来のDEXは、注文に応じる相手が存在しなければ取引が成立しなかったため、流動性が極端に乏しかった。Uniswapでは、流動性プールを用意され、取引はプールを通じて行われるようになった。プールへの流動性の提供は、誰でも行うことができ、流動性が利用されると提供者に手数料の一部が還元されるようになっている。今やUniswapは、bitFlyerより高い売買高を誇る取引所に成長している。

5位のAave(アーベ)は、レンディングプラットフォームである。流動性プールに資産を提供できる点は、Compoundと同様だ。異なる点は、借り手が担保なしで暗号資産を借りることができるフラッシュローンを選択できる点や、自身の持つ与信枠を他者へ移譲できる点である。また、Aaveでは借り手が固定金利を利用することができるようになっており、次期バージョンでは貸し手も固定金利を利用できるようになる。

ご覧のように、いずれのDeFiサービスでも担保や流動性を提供するという点が共通している。また、この場で直接触れていないプロジェクトのサービスを含め、流動性の提供により何かしらのインセンティブが得られるようになっている。

そして、MULAN Finance(ムーランファイナンス)も流動性提供でインセンティブを得られるようになっているDeFiサービスを展開するプロジェクトである。流動性を提供することで、MULANトークンを獲得することができ、トークンの保有でガバナンスのための議決権とプラットフォームからの配当権を獲得することができる。また、今後は分散型取引所(DEX)やレンディングなどの各種サービスが展開される予定である。


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