Web3は、次世代におけるインターネットのイノベーションの代表格である。アプリケーションにおけるブロックチェーン技術のうち、Web3は最も基礎の部分を占める。Web3は、仮想通貨・ブロックチェーン・シェアリングエコノミーのすべてのロジックに関わってくる。DeFi、GameFi、NFTfiは、過去2年間において、Web3が生んだプロダクトの中でも最も注目を集めてきた。

とりわけSocialFiは、ブロックチェーンの分散化メカニズムと密接に関係しており、Web2における一元的なデータストレージを、共生関係に置き換えた。権利と利益を個人・ユーザー・消費者に還元することで、SocialFiはデジタル生活におけるコントロール権を民主化し、価値交換の方法を完全に塗り替えた。

SocialFiは、Web3の中でも成長分野として最も有望な分野である。プロジェクトの初期段階では、ユーザーエクスペリエンス、拡張性、コスト、未開拓の需要というシリアスな困難に直面しているが、多くの野心的なスタートアップ企業群が、Web3が提案するビジョンの実現を目指して切磋琢磨している。

3月24日、Blocklikeは 「SocialFi・Web3・シェアリングエコノミー」 をテーマに討論会を開催した。SocialFiのプロジェクトリーダー5人がオンラインで招待され、SocialFiがWeb3でもたらした新たなトレンドについて意見をたたかわせた。パネルディスカッションでは、ブロックチェーンの最新プロダクトにおける機会と展望について検討が行われた。この討論会は、Binance LiveとMars Finance Liveでライブ公開され、30,100人もの視聴者を集めた。以下は、討論会のテーマと内容からの抜粋である。

1.Web3とは何か? なぜ他ならぬWeb3なのか?

GEMS・CEO アンディ・コウ(Andy Koh)氏:Web3の本質は、ブロックチェーン上の分散型インターネットであるということだ。NFTや仮想通貨は、この技術なしには成り立たない。個人の財産権を尊重することは、起業家精神を刺激し、巨大IT企業にも負けないパワーを生み出す。たとえば、P2Pの決済システムがそれだ。多くのeスポーツゲームはすでにNFTを採用している。NFTが実現したユースケースは多岐にわたる。但し、Web3は個人の所有権の問題であり、価値連鎖とは関係が薄い。

Corite・CEO兼創業者 マティアス・テンブラッド(Mattias Tengblad)氏:音楽の世界はかつて、偉大な音楽家たちを援助するパトロンと、私のようにそのおこぼれをあずかる音楽愛好家に二分されていた。音楽こそは、最も中央集権的な業界だったと思う。

ブロックチェーンとNFT技術は、所有権と取引安全に関する技術で、音楽コミュニティに新しい力をもたらす可能性がある。Web 3は、コミュニティの力を利用することで、音楽プロジェクトに資金を提供するものだ。Web3は、①人々が協力して資金を調達したり、②プロモーションをしたり、③新しいプロダクトを発明したりするときに、その威力を発揮する。

Token Traxx・CCO兼創設者 トミー・ダンバース(Tommy Danvers)氏:低コストで音楽を作って世界中にデジタル配信すれば、誰もが音楽を楽しめるようになる。残された問題は、プロダクトの所有権だ。

Web2の時代には、多くの仲介業者が関わっていた。音楽の権利収入のうち、アーティストの手に渡るのは12%だけで、残りは中間マージンとなっていた。これではクリエイティブな人を十分にはサポートできない。権利収入の大部分を、YouTube、Spotify、Apple Musicなどのプラットフォームに吸い上げられてしまうので、音楽家がそれで生計を立てるのは難しい。

そのため、これらの異なる側面をすべて検討し、ブロックチェーンをサポートする方法を考える必要がある。ブロックチェーンはすばらしい技術だが、それですべてを解決する魔法の技術ではない。私たちは多くのやり方を考え、それを統合して実行する必要がある。

MeMusic・COO ヨンスン・チョン(Youngsung Chong)氏:Web3時代の音楽業界は、マルチプレイヤーコミュニティとシェアリングエコノミーを実現するだろう。私たちはかつて、音楽を娯楽の1つとして見るように教えられた。いまや音楽は投資の手段と見なされるようになった。音楽は個人の所有物であるのと同時に、ゲームに使用権を与えることもできる。他の音楽会社を競合と考えずに、協力することが重要だ。最終的にエコシステムとしての利便性を高めることが、よい音楽を作ることにつながるからだ。

音楽NFTは、メタバース内で再生したり、ゲームで使用したり、著作権を販売したりすることができる。Web2企業に、もはや覇権はない。Web3は、Web2企業を理解し、受け入れるべきだが、多くの課題があるだろう。クリプトコミュニティは、今そこをドライブしようと苦闘している。

Metafluence・CEO兼共同設立者 エルビン・アジエフ(Elvin Aziyev)氏:Web3の本質は、所有権・相互運用性・分散化の3つだ。人々はNFTについての理解を深め、とくにWeb3の所有権については非常にクリアになってきている。相互運用性とは、デジタル資産と物理的資産をリンクすることだ。かつて人々は広告を出すには、大手メディアや広告代理店に頼ってきたが、分散化ウェブの時代にあってはインフルエンサーが取って代わった。大手であれ中小企業であれ、インフルエンサーと契約して、ビジネスを直接プロモーションすることができる。P2PのWeb3経済において、誰もがエンパワーされている。

2.Web3を可能にしているものは何か?

マティアス・テンブラッド氏:重要なのは、音楽業界は分散型経済と所有モデルに最も適した業界だろうということだ。
ファンとアーティストを結びつけ、ファンの力を利用してマスマーケットに売り出す。アーティストは、支援者と成功を共有することができる。

アンディ・コウ氏:プラットフォームこそが、その最善の方法だ。コンテンツのコントリビュータをプラットフォームに接続し、NFTテクノロジを利用して、コンテンツのデジタル化を行う。NFTのアートワークは、ゲーム、音楽、映画になる可能性もある。
 Web3とNFTは、コンテンツ市場を一変させるだろう。音楽であれ、アートであれ、ゲームであれ、最も多くの人のもとに届けられる方法だ。だからこそ個人の財産権と起業家精神を尊重し、巨大テックの牙城を崩さなければならない。

トミー・ダンバース氏:Web3の本質は、互いに助け合うこと、つまり分散化の概念にある。音楽は常にテクノロジーを推進してきた。Web3では、音楽家たちはデビュー段階で音楽NFTを配布することができる。自身の活動、ライブ、グッズ、VIPチケット、報酬、体験などを中心にNFTキャンペーンを立ち上げることができ、それらはすべてNFTとブロックチェーンで運営することができる。彼らは筋金入りのファン層を獲得できるだろう。

3.Key Opinion Leader(キーオピニオンリーダー、以下KOL)の多くは、トップ層以外はあまりお金を稼げていない。どうすればクリエイターエコノミーを促進できるだろうか?

エルビン・アジエフ氏:インフルエンサーに関して言えば、私たちはKOLではなく、プチインフルエンサーを想定している。私たちが作りたいのは、SNSัユーザーが相互に影響を与えあう、分散化されたP2Pのエコシステムだ。たとえば、クリエイターはインフルエンサーだが、必ずしもKOLではない。Web3エコノミーは、SNS上で存在感やフォロワーを持つプチインフルエンサーに力を与え、より高性能な収益化ツールを提供する。従来のインフルエンサーもWeb3に移行しつつあり、その成長は指数関数的だ。

4.プロジェクトは今、どの段階にあるのか?何か大きなニュースはあるか?

アンディ・コウ氏:私たちは4ヶ月足らずで、500万USDTと40を超えるエコシステムパートナーを集め、GameFiの世界でリーダーになろうとしている。

ヨンスン・チョン氏:私たちはいまだ資金調達の段階にあり、Filecoinと提携したのも最近だ。現在はベータ版をリリースするための製品開発に取り組んでおり、より直接的な実務経験を有する音楽業界の人材を採用している。近々ビジョンもお見せするので、期待して欲しい。

トミー・ダンバース氏:私たちは月曜日にToken Traxxをローンチし、上場させた。来月にはビッグネームもプラットフォームに登場するだろう。

エルビン・アジエフ氏:資金調達を終えて、1月にローンチした。いくつかの取引所で取引が開始されて、CEXのリストにも掲載済みだ。

パネルホスト
ユアン・ウォン(Yuen Wong)氏、Labs Group、CEO

スピーカー
アンディ・コウ(Andy Koh)氏、GEMS、CEO
ヨンスン・チョン(Youngsung Chong)氏、MeMusic、COO
マティアス・テンブラッド(Mattias Tengblad)氏、Corite、 CEO&Founder
トミー・ダンバース(Tommy Danvers)氏、Token Traxx、CCO&Founde
エルビン・アジエフ(Elvin Aziyev)氏、Metafluence、 CEO&Co-Founder

https://www.youtube.com/watch?v=YY8bg4__gu8