XRPコミュニティは、2024年2月8日にXRPレジャー(XRPL)で実装される予定のクローバック機能を導入する提案を支持するために結集している。この提案は圧倒的な支持を得ており、ユニークバリデータの94%が賛成票を投じた。
XRP Ledger Clawback amendment flag got set !
— Vet ☠️ (@Vet_X0) January 25, 2024
The ledger set the ETA for activation now
It's all coming together folks... pic.twitter.com/Sn2s67YmTk
XRPのクローバック機能とは何か
クローバック機能は、発行者が資産をより強力にコントロールすることを目的としている。例えば、アカウントへのアクセスが失われた場合や不正行為が発生した場合などに、関連するアカウントから資金を「クローバック(取り戻す)」する能力を発行者に与える。
公式の説明では「規制上の目的のために、一部の発行者は、アカウントに配布された後も発行したトークンを回収する能力を持たなければならない。例えば、発行者がトークンが違法活動に関与しているアカウントに送られたことを発見した場合、発行者は資金を回収、またはクローバックすることができる」と説明されている。
リップルの最高技術責任者デイビッド・シュワルツ氏は、クローバック機能によってトークン発行者が保有者から特定量のトークンを回収することを可能にすると説明する。これにより、法的紛争を解決し、裁判所の命令に従うことができるようになると主張する。
... One more detail. While it's true that you can't really do anything with clawback that you can't do with freeze, in fairness it's worth analyzing one legitimate objection people could have to this feature.
— David "JoelKatz" Schwartz (@JoelKatz) October 2, 2023
Freeze is all or nothing. Clawback is more surgical. If you think…
シュワルツ氏によると、クローバック機能はXRPLにすでに存在するフリーズ機能とは異なる。この機能がなければ、企業は全資産を凍結することを余儀なくされ、大きな混乱と潜在的な財務損失につながる可能性がある。
しかし、ブロックチェーンプロトコルへの大幅なアップデートには必ず一長一短があり、クローバック機能は短期的および長期的にXRPの価格に影響を与える可能性がある。
メリット
資産トークン化会社ソロジェニックのビジネスデベロッパー、マイケル・マッカフリー氏は、XRPLブロックチェーンにクローバック機能を組み込むメリットとして次の3点を挙げている。
- ステーブルコインの完全性:セキュリティ侵害や詐欺が発生した場合に、プール全体を凍結することなく資金を回収できる。
- 国境を越えた取引における規制遵守:突然の規制変更によって影響を受けるトークン化資産の取引を選択的に取り消すことができる。
- 資産担保トークン化のリスク管理:市場の低迷が実物資産の基礎価値に影響を与えた場合に、トークン発行者がトークンを選択的に回収し、再発行できる。
全体として、法的紛争での巻き込まれ被害を最小限に抑え、システムの完全性を維持するために、広範なエコシステムに影響を与えることなく特定量の資産を回収する「外科手術のような」能力は、コンプライアンスを遵守する機関投資家にとって利点をもたらすことになる。
デメリット
ビットコイン(BTC)がデザイン上、ブロックチェーン取引を不可逆的に設定することでその基盤を築いた一方、XRPは従来の銀行のようなツールを再導入することで、それを「分散型台帳」よりも法定通貨のような存在に近づけることになるだろう。
資産の中央集権的なコントロールを可能にするあらゆる機能は、悪用のリスクをはらむ。そして、クローバック機能に対する基本的な批判としては次のようなものが出ている。
- ユーザーの自律性の問題:クローバック機能は発行者がユーザーの保有資産に干渉することを可能にする。
- 複雑さとユーザーの混乱:このような機能を実装することで、特に技術知識が限られているユーザーにとってXRPLが複雑なものになる。
しかし、ほとんどのXRPLバリデーターはこれらの潜在的なデメリットを脇に置き、35のノードのうち33がXRPLにクローバック機能を統合することに投票した。
Ripple adds a “clawback” function on their XRP arbitrary software ledger & they call it a “feature”
— Richard “Dick” Whitman (/21M) (@GhostofWhitman) January 31, 2024
Without being a non-political, trustless, immutable ledger…
…it can never be sound money #bitcoin ≠ “crypto” pic.twitter.com/iE0yefbZlk
クローバック機能がXRP価格に影響を与えるか?
強化された規制遵守と信頼の増加は、より多くの機関投資家をXRPに引き寄せ、価格を押し上げる可能性がある。逆の可能性としては、中央集権的コントロールが悪用される懸念やユーザーの自律性への影響は市場のネガティブなセンチメントを引き起こすだろう。
歴史的に、個人投資家は、中央集権の要素を導入するような機能が市場のダイナミクスにどのように影響を与えるかをしばしば見落としてきた。たとえば、イーサリアム(ETH)やステラ(XLM)のようなブロックチェーンは、特定の状況下で取引を逆転させたり変更したりすることをエンティティに許可している。それにもかかわらず、これらの価格は市場で良好なパフォーマンスを維持してきた。

したがって、クローバック機能の導入によるXRPの価格への影響は推測の域を出ない。下のチャートに反映されているように、クローバック機能の導入に向けてXRPの価格軌道は停滞しているようにみえ、トレーダーからの関心の欠如を示している

しかし、テクニカル的な指標は、レジスタンスを越えようとする試みが進行中であることを示唆している。このラインを破ることは重要になるだろう。なぜならそれは長期的な週間トレンドラインのサポートであり、200週間指数平滑移動平均線(200-week EMA; 青い波)であるからだ。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自分でリサーチを行って決定してください。