イーサリアムの共同創設者であるヴィタリク・ブテリン氏は、最近公開されたワールドコイン(Worldcoin)の人間認証システムについての考察を長文エッセイで発表した。
7月24日にブテリン氏は、その日に開始されたワールドコインに対する反応をツイートした。
What do I think about biometric proof of personhood?https://t.co/yozo1buW24
— vitalik.eth (@VitalikButerin) July 24, 2023
エッセイではワールドコインやその運用方法の説明とともに、トークンの発行に伴う大きな概念、すなわち「プルーフ・オブ・ヒューマニティ(人間性の証明)」について取り上げた。
ワールドコインや同様の認証解決策、BrightID、Idenam、Circlesなどは、人工知能(AI)が進化するにつれて、人間と機械を区別することがますます困難になると考えているようだ。
ワールドコインのようにトークンタイプを供給するほとんどのシステムは、ボットにより人間が危険にさらされるとして、ユニバーサルベーシックインカムが必要だと見ている。
ブテリン氏は、これらの要素が結合され、デジタルによる人間の確認が必要となると主張した。彼は、「スパム対策や権力の集中防止の問題」を解決するために、この人間性の証明システムが価値があると主張した。
さらにブテリン氏は、ワールドコインのようなシステムが約束通り分散化を続ければ、「中央機関への依存を避け、可能な限り最小限の情報を明らかにする」だろうと指摘した。
「人間性の証明が解決されなければ、敵対的な政府を含む非常に裕福な行為者に、分散型ガバナンスが補足されやすくなる」
ブテリン氏はまた、プライバシー、アクセシビリティ、ワールドコイン財団の中央集権化、セキュリティといった4つの主要な懸念点についても触れている。
6月27日には、ワールドコインがオプティミズム上にマルチシグネチャのスマートコントラクトウォレット「Safe」のデプロイメントを実施したことで、シビル攻撃、もしくは間違ったアドレスに送信されたコインから利益を得るために使用されるある種のアドレスファーミング技術ではないかという推測が広がった。
イーサリアム・アテステーション・サービス(EAS)の開発者であるスティーブ・ダク氏は、ワールドコインのようなシステムはEASと相補的になる可能性があるとブテリン氏の投稿にコメントした。
I think Worldcoin can just be an attester of proof of personhood using a protocol like EAS and other entities can decide whether or not they value those attestations.
— Steve Dakh (@stevedakh) July 24, 2023
最後に、ブテリン氏は現在「人間性の証明の理想的な形態は存在せず」、問題に対する3つの異なるアプローチが互いに混ざり合う可能性があると主張している。
彼はプロセスにおけるコミュニティの責任を求め、監査、チェック、バランスを呼びかけた。彼はそのようなシステムの設計と実装を任されている者をうらやんでいないとしながら、彼の主張は単純だ。
「人間性の証明が存在しない世界は、中央集権的なアイデンティティソリューション、貨幣、閉鎖的なコミュニティ、またはこれらの組み合わせで支配される可能性が高い世界だろう」