ダボス会議で知られる世界経済フォーラム(WEF)は、ブロックチェーン導入の利点に関する評価ガイドを公開した。7月16日にプレスリリースをコインテレグラフに共有した。今回の文書は、ブロックチェーン技術の導入方法に関して、企業向けに6つの例を挙げて掘り下げている。

このガイドは、WEFが昨年公開した「ブロックチェーン・ビヨンド・ザ・ハイプ(ハイプを超えるブロックチェーン)」に続くもので、コンサル企業アクセンチュアと共同で制作された。

企業がブロックチェーンを適用するには、まずは、ブロックチェーン技術を理解するのに時間をかけ、現実的に「インセンティブの割り出し」と「リスクの把握」を見極める、それから戦略的優先順位をつける、としている。また、「ブロックチェーンはデジタル化に代わるものではなく、そのように扱うべきではない」と指摘し、ブロックチェーンまたは他の技術が最適なソリューションなのかどうか査定することも勧めている。

最後に、組織や団体は、より効果的な戦略的変革に向け、迅速なアプローチを維持し、個々の組織の枠にとらわれない思考を持つことが重要だとしている。

「ブロックチェーンのその分散型の性質は、細分化された複雑な環境において、孤立したアプローチから全域にわたるバリューチェーン統合への変革をより達成可能にする。実際、こういった変革は提携の欠如により弱体化、または阻止されることさえある。価値を評価する上で、連携することで得られるネットワークとスケーリングの効果を検討することは重要だ」

WEFのブロックチェーン責任者のシーラ・ワレン氏は、前回のガイドではブロックチェーン導入はそれ自身がゴールではないと強調していたと説明。今回のペーパーの目的は同技術の「導入」におけるガイドを配布することだとした。

この新しいガイドは、ある問題解決においてブロックチェーンが正しいソリューションだと見極めたが、次に何をすべきかわからない企業リーダーらに向けたものだ

ブロックチェーン投資に企業側は切迫感

今回のガイドは、ブロックチェーンプロジェクト79件の評価と世界13業界の550人を対象に実施した調査結果をもとに作成された。回答者の51%は、もし会社や組織がブロックチェーン技術に投資しなければ、「新たな製品やサービスの開発を逃す」と考えていた。23%は、「スピードや効率の面で損失」とし、15%は「コスト削減において損失」だと答えていた。

一方で、13業界のうち9業界は、データ追跡やデータの統合がブロックチェーンの最大の武器だと認識。組織にとっては、ブロックチェーンの恩恵は「新たなビジネス製品やサービス」を生み出す以前に、既存の商品やサービスの改善に向けたものとの認識が強いことがわかった。

今年5月、WEFは政策立案者や企業に向けた新たな技術政策ガイダンスの策定に取り組むため、ブロックチェーン・AI・IoTなどを対象とする6つの「第4次産業革命評議会」の設立を発表している。
 

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版