世界最大の仮想通貨(暗号資産)取引所の1つであるOKExが、10月16日に出金の一時停止を発表した。このニュースを受け、ビットコイン(BTC)価格はわずか30分で3%急落した。
市場の動揺は、出金停止の背後にある理由と、それがもたらす潜在的な影響から来ているようだ。
ビットコインの15分足チャート. 出典: TradingView.com
「秘密鍵保有者が捜査に協力」と説明
OKExは、取引所の秘密鍵保有者の1人が公安当局の捜査に協力しているためと、今回の出金停止の理由を説明している。
「私たちの秘密鍵保有者の1人が、現在、公安当局の調査に協力している。私たちは秘密鍵保有者と連絡を取ることができないでいる。そのため、関連する認証を完了できなかった」
OKExの発表の後、ビットコイン価格は11,514ドルから11,190ドルまで下落した。30分で3%急落し、市場全体での反落を引き起こした。
仮想通貨取引所は通常、コールドストレージ、つまりインターネットに接続されていないウォレットから引き出しを処理するためのマルチシグニチャシステムを採用している。
コールドウォレットから資金を転送するためには、多くの場合、取引所のトップや幹部の複数に秘密鍵を配布する。マルチシグニチャシステムでは、トランザクションを有効にするために、秘密鍵保有者のすべてもしくは過半数以上が立ち会う必要がある。
OKExの場合、秘密鍵保有者の1人が出金を承認できない状態だと説明している。OKExのジェイ・ハオCEOはツイッターで「すべての資金と資産は安全である」と述べている。
「デジタル資産/仮想通貨の出金以外のOKExのオペレーションのすべては、影響を受けていない。すべての資金と資産は安全だ。今回の捜査は、特定の秘密鍵保有者の個人的な問題に関連するものだ。より詳細なアナウンスを予定している」
OKExのニュースがビットコイン急落を引き起こしたのには、2つの理由がある。1つは、OKExがスポットと先物の両方で取引高の多い取引所の1つであることだ。
第2に、OKExが中国関連の取引所であり、それが市場での憶測を高めることになっている。中国の仮想通貨情報サイト「8BTC」の共同創設者であるレッド・リー氏は、次のように述べている。
「OKExはまず午後15時に出金を一時停止すると予告していたが、すぐに午前11時に変更された。『特定』の取引所で800以上のアカウントが、クロスボーダーのマネーロンダリングに関与しているという噂もある」
ニュースに驚いた業界幹部
香港ビットコイン協会の会長であるレオ・ウィーゼ氏は、1人の人間が取引所のコールドウォレットのマルチシグニチャシステム全体に影響を与えたという事実に驚いたと告白している。
「中国にいる1人の人間が、オフショアの仮想通貨取引所全体の秘密鍵を持っていることが、私がこの1年で一番驚いたことだ。すぐに顧客が秘密鍵管理の透明性を要求することはないだろうが」
ビットメックスの場合、同社のCTOであるサミュエル・リード氏が逮捕されたが、取引や出金の承認に支障は出ていなかった。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン