トランプ政権でAI・仮想通貨政策を担当するデビッド・サックス氏は、内国歳入庁(IRS)の分散型金融(DeFi)ブローカー規制の撤回を支持する意向を示した。
3月4日のX投稿でサックス氏は、テッド・クルーズ上院議員とマイク・ケアリー下院議員が提案した規制撤回の決議案をホワイトハウスが支持していると述べた。
この決議案は、DeFiプロトコルへのアクセスを提供するソフトウェアプロバイダーを「ブローカー」と定義する規制を撤回することを目的としている。サックス氏によると、この決議が議会で可決され、大統領のもとに届けば、トランプ大統領の政策顧問らは法案に署名するよう勧告する予定だという。
「この規制は、前政権の最後の日々に“深夜規制”として発行されたものであり、米国のイノベーションを阻害し、納税者の個人情報共有に関するプライバシー問題を引き起こす。さらに、米国のDeFi企業に前例のないコンプライアンス負担を課すことになる」と、米行政管理予算局(OMB)は3月4日の声明で述べている。
この規制は、2024年12月にIRSが発表したもので、トランプ大統領の就任前に策定された。発表直後から、規制強化により企業の海外移転や技術イノベーション阻害が懸念されるとして、仮想通貨業界から強い反発を受けた。ただし、この規制の施行は2027年まで予定されていない。
IRSの方針によると、DeFiプラットフォームがデジタル資産の交換や売却を仲介し、取引プロセスに一定の管理または影響を及ぼしている場合、そのプラットフォームは「ブローカー」とみなされる可能性がある。
その結果、追加の報告義務が課され、IRSへの詳細なデータ提出が求められることになる。IRSの推計によれば、この規制の影響を受けるDeFiブローカーは約650~875社に及び、2026年からデータ収集を開始しなければならない。
IRSの規制変更は、1月に発足した共和党主導の議会が提案する数多くの法律改正の1つにすぎない。トランプ大統領はすでに、仮想通貨業界に有利な複数の大統領令に署名しており、3月7日にはホワイトハウスで「暗号資産サミット」を開催する計画を発表している。