ビットメックスはかつて、ビットコイン(BTC)先物取引の圧倒的なリーダーだった。もし昨日の米政府による措置と同様のことが2015~18年に起こっていたら、仮想通貨市場は完全に崩壊していたかもしれない。
1万600ドルに比較的迅速に回復したが、デリバティブ市場は1万400ドルに下落する間も安定していた。ビットコイン先物もオプションも、ネガティブなニュースに対して混乱する様子はみられなかった。
先物市場はこの出来事をほぼ無視しているようだ。これは投資家が引き続き強気であることを示す強力なサインだ。また市場が予想よりも早く、1万2000ドルを試す展開になることも示唆しているだろう。
2019年のビットメックスのBTC先物の日次取引高 出典: Skew
上に示しているように、ビットメックスは2019年7月まで市場シェアのほぼ50%を有していた。これは、いわゆる永久契約市場の先駆けであったことからもたらされていた。本人確認(KYC)を必要としないことに加え、最大100倍のレバレッジを提供しており、これによりユーザーベースの拡大につながった。
3月の市場暴落により、ビットコイン価格が3,600ドルまで急落した後、競合の取引所は同様のサービス提供を積極的に行うようになり、これによりビットメックスは2019年を通じて支配的な地位を失うことになった。
仮想通貨コミュニティはビットメックスによる米国居住のクライアントの禁止が市場シェア喪失の主な原因であると考えているが、ほかの声としてはビットメックスのアグレッシブな流動性エンジンが触媒となったと指摘する声もある。
3月13日の相場暴落の中、ビットメックスは技術的な問題に直面し、25分間オフラインになった。停止が発生し、ビットコインの価格が4000ドルを下回ったため、ビットメックスの保険ファンドは次の48時間で保有量を1000BTC増やすことができた。このイベントがあって以来、ビットメックスの先物の建玉は10億ドル未満に固定されている。
2020年のビットメックスのBTC先物の日次取引高 出典: Skew
最近のデータを見ると、ビットメックスは取引高の点ではほとんどその存在感を失っている状況だった。過去3ヶ月間、その市場シェアは約18%で推移し、ビットコインの価格設定に対するビットメックスの影響を測定することは不可能だが、過去18ヶ月でその優位性を失ったことは明らかだろう。
ビットコイン先物市場は堅調に推移
通常のスポット取引所での価格と先物契約との価格を比較するのは、先物のプレミアム測るための基本的な指標だ。
健全な市場は通常、コンタンゴとして知られる状況で、年率5~15%を示している。一方、ネガティブベース(先物割引)は通常、非常に弱気な市場で発生する。
BTC先物カーブ 出典: Highcharts.com
上のグラフは、ビットメックスを除くすべtねお取引所で5.4%以上の3ヶ月契約プレミアムを示している。本質的に、プロのトレーダーは彼らの期待が昨日の出来事によって損なわれなかったことを示している。
昨日のニュースで取り上げることがあるとすれば、それは取引所固有の問題であり、先物市場全体にはほとんど影響を与えないということだ。
投資家がポジションを閉じている間、先物プレミアムは比較的安定したままであることは注目に値する。
この観点から、建玉は特定の市場もしくは取引所に対する投資家の信頼の最も重要な証拠だ。
統計の数値が変わらなかったとしても、ビットメックスからほかの取引所への流出は、建玉データに反映される。
BTC先物の建玉 出典: Skew
昨日のニュースがいかに影響を与えていないかに注目して欲しい。ビットメックスの建玉は前日から11%減少して6億5000万ドルとなったが、集計した全体の数字をみるとほとんど影響を受けていない。
フォビが減少分をほとんど吸収する形となっており、一部のトレーダーがポジションを移動させた可能性を示唆している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン