グローバル決済大手ビザは、中央集権型取引所を使わずに仮想通貨を法定通貨に交換する新たな方法を導入することで、仮想通貨の採用を拡大している。
ビザは1月30日、Web3インフラプロバイダーのトランサックと提携し、ビザ・ダイレクト・ソリューションを介して仮想通貨の引き出しと支払いを導入すると発表した。
この新しい統合により、ユーザーはメタマスクなどのウォレットからビットコイン(BTC)などの仮想通貨を直接ビザのプリペイドカードに引き出すことができる。即座に仮想通貨を法定通貨に交換し、ビザが利用可能な1億3000万の加盟店で支払うことが可能になるという。
ビザ・ダイレクトの北米責任者であるヤニルサ・ゴンザレス・オレ氏は「ビザ・ダイレクトを介してリアルタイムのカード引き出しを可能にすることで、トランサックはユーザーにとってより速く、より簡単で、よりつながりのある体験を提供する。これにより、仮想通貨残高を法定通貨に変換するのが容易になるだろう」と述べた。
トランサックのマーケティング責任者兼投資家リレーションズ責任者であるハーシット・ガンワル氏は、このコラボレーションにより、仮想通貨を法定通貨に交換するオプションが大幅に拡大し、仮想通貨と伝統的な金融の世界をつなぐ大きなマイルストーンになると指摘した。
今回の提携により、ユーザーは145か国から、中央集権型取引所を頼ることなく、少なくとも40種類の仮想通貨を直接法定通貨に交換できるようになる。トランサックのグローバルカバレッジページによると、サポートされている国には、キプロス、マルタ、シンガポール、トルコ、ポルトガル、アラブ首長国連邦などの管轄区域が含まれる。
ガンワル氏によると、この統合によりメタマスク、レジャー、トラストウォレットなどのウォレットのユーザーにとって大きなメリットに繋がると強調。「メタマスクユーザーは、ウォレットからビザカードに簡単にオフランプ(法定通貨への換金)できるようになった。これにより、デジタル資産の使いやすさや実用性が向上する」とした。
メタマスクのシニアプロダクトマネージャー、ロレンソ・サントス氏によると、ビザとトランサックの提携は、メタマスクユーザーにとって重要な機能を確かに実現するものであるという。彼は次のように述べた。
「トランサックのビザとの統合により、メタマスクユーザーに世界中で新たな地平が開かれる。スムーズな仮想通貨から法定通貨への変換において、より柔軟性が提供される」
ガンワル氏によると、トランサックは複数の管轄区域でライセンスを取得しており、顧客の本人確認とマネーロンダリング対策技術が導入されているという。これにより、トランサックはユーザーの本人確認とビザを介した合法的な取引が可能になる、と彼は付け加えた。
決済業界で世界最大の企業の1つであるビザは、近年、仮想通貨の用途を積極的に模索している。2020年、ビザはブロックチェーン企業のサークルと提携し、一部のビザカードでステーブルコインのUSDCをサポートした。2023年9月には、ビザはソラナブロックチェーンで決済されるUSDCのサポートを開始している。