調査会社ピッチブックのレポートによると、2023年第4四半期の仮想通貨関連企業へのベンチャーキャピタル投資は、前四半期比2.5%増加し、19億ドルに達した。2022年3月以来初めて仮想通貨スタートアップへの投資額が増加した。

ピッチブックは、資金調達に成功した主要な仮想通貨企業は、主に金融および技術ソリューションに焦点を当てていると指摘。具体的には、不動産や株式などの現実世界の資産(RWA)のトークン化や、分散型物理インフラの構築(DePIN)が含まれる。

Screenshot of crypto early-stage VC deals in Q4 2023. Source: PitchBook

この四半期で最も重要な案件は、オープンソースのブロックチェーン開発プラットフォームであるワームホールへの2億2500万ドルの投資だ。コインベースベンチャーズ、ジャンプトレーディング、パラファイキャピタルから支援を受けたワームホールは、25億ドルの評価額を獲得した。

ピッチブックのレポートによると、仮想通貨企業やプロジェクトへの関心の高まりは、米国でビットコイン現物上場投資信託(ETF)が1月に開始されたことに起因しているという。

レポートによると、2023年第1四半期には、仮想通貨企業の資金調達は低迷していた。同期間では投資件数は353件で調達額も26億ドルにとどまった。これは、前四半期比で11%、投資件数全体で12.2%減少していた。さらに、この四半期の投資額は2020年以来最低となった。

2022年に仮想通貨業界は低迷し、市場の苦境はブロックチェーンと仮想通貨セクターへのベンチャーキャピタル投資の減少に反映された。2022年最初の4ヶ月間の投資額は110億ドル、投資件数は692件と好調だったが、VC投資はその後四半期ごとに減少した。これには2022年5月のテラエコシステムの崩壊やスリーアローズキャピタル、セルシウスの破綻など連続して起こった企業の破綻が原因だろう。

そして2022年11月のFTXの崩壊は市場の変動性をさらに高め、金利上昇やインフレなどの世界経済全体要因もベンチャーキャピタル投資の減少に拍車をかけた。