31日の外国為替相場で、ドル円は108.38円で取引を終えた。新型肺炎の感染拡大への警戒からNYダウが603ドル下げるなど、マーケットはリスクオフの動きに。安全資産とされる米国債も買われ、米国10年債利回りは1.505%まで下落した。米国10年債利回りが米財務省証券(TB)3カ月物の利回りを下回る「逆イールド」が発生しており、今後の先行き懸念が広がっている。
新型肺炎は世界各地で感染拡大を続けている。中国国内での死者数は300人を超え、感染者数は1万4,380人になっている。また、フィリピンで中国武漢の男性が死亡。新型肺炎による中国国外での初の死者となった。
米国務省は、米国人の中国全土への渡航の警戒レベルを、4段階でもっとも高い「渡航中止・退避勧告」に引きあげた。複数の航空会社が中国便の運行の一時休止を決めており、感染拡大が世界経済に与える影響が懸念されている。
中国では春節休暇を終え、本日から株式や元相場の取引が開始される。大幅下落で始まることが想定されているが、中国人民銀行(中央銀行)は公開市場操作(オペ)で金融市場に1兆2,000億元(約18兆7,000億円)を供給すると発表した。新型肺炎の拡大による金融市場や経済への悪影響を緩和する狙いだが、どこまで効果があるかが注目される。
ドル円のテクニカル分析と相場見通し
今日のドル円予想レンジ
108~108.80円
まず、米国10年債利回りを確認してみよう。
昨年10月7日の安値1.505%と同水準まで低下している。ここを割り込むと9月3日の1.429%が視野に入る。今後も利回り低下に警戒が必要だ。
ドル円のチャートは以下の通り。
6時14分時点のドル円は108.47円。200日移動平均線(108.42円)を意識する動きとなっている。上海株式市場や元相場の動きを見極める必要があるが、米国10年債利回りが1.5%を割り込むと下値模索の展開になるだろう。