米国財務省の外国資産管理局(OFAC)は、北朝鮮の「輸送・調達活動」に関わる2人を特別指定国民のリストに加えたほか、仮想通貨ミキサーのトルネードキャッシュに対する制裁を再指定した。

財務省は8日、制裁の根拠として北朝鮮国籍のリ・ソク氏とヤン・ジヨン氏が行った活動に関連し、トルネードキャッシュを「上場廃止と同時に再指定」した。OFACは、トルネードキャッシュが北朝鮮系のラザルス・グループによって盗まれた4億5500万ドル相当の仮想通貨のマネーロンダリングに関与しているという主張を繰り返した。

トルネードキャッシュの再指定は、財務省が8月に行った措置に代わるもので、「最終的に北朝鮮の(大量破壊兵器)プログラムを支援する悪質なサイバー活動を可能にする」ために制裁するもの。当初の制裁措置に、ラザルス・グループも含まれていたが、北朝鮮の核プログラムとの関連性は示されていなかった。

「本日の制裁措置は、北朝鮮の兵器プログラムの2つの主要な結節点をターゲットとしている。すなわち、収益を得るためにサイバー犯罪を含む不正行為への依存度を高めていることと、大量破壊兵器および弾道ミサイルプログラムを支援するための物品調達・輸送能力だ」と、財務省テロおよび金融情報担当次官ブライアン・ネルソン氏は述べた。

仮想通貨空間の多くは、ミキサーに対する制裁に関連して、米国財務省への訴訟に関与している。米仮想通貨取引所コインベースが支援する投資家グループは9月に法的措置を取り、トルネードキャッシュに接続されている44のUSD Coin(USDC)とEther(ETH)アドレスに対する財務省の制裁は「法律に準拠していない」と主張した。仮想通貨擁護団体コインセンターも10月に、ミキサーは「誰のコントロールも及ばないプライバシーツール」であるとし、財務省を提訴した。