米上院は、導入から1か月以上が経過した「米国ステーブルコインのための国家的イノベーション指針および確立法(GENIUS法)」の審議を進めることを、賛成68・反対30で可決した。

上院本会議場で発言したジョン・スーン上院院内総務(共和党)は6月11日、議員に対してこの法案への支持を呼びかけ、デジタル資産に関するドナルド・トランプ米大統領の主張を多く引用しながら、「この法案は米国を“世界の仮想通貨の首都”にする助けとなる」と語った。

上院では、複数の民主党議員を含む過半数が法案に対してクロージャー(討議終結)の動議に賛成し、これにより本格的な審議と本会議での採決が可能となった。可決されれば、下院に送られてさらなる審議が行われることになる。

「私たちは仮想通貨を主流に押し上げたいと考えており、GENIUS法はそのための助けとなる」とスーン氏は述べた。

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Senate Majority Leader John Thune speaking in favor of voting for the GENIUS Act on Wednesday. Source: US Senate

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スーン氏は、仮想通貨に関して「議会にはまだ取り組むべき課題がある」と語り、下院で審議中の別の市場構造法案にも言及した。火曜日には、下院の2つの委員会が「CLARITY法」と呼ばれるこの法案の採決を進めており、近く本会議での採決にかけられる可能性がある。

一方、マサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)は本会議場で発言し、GENIUS法には「根本的な問題」があるとし、超党派による修正案の投票を行わなかったことで上院がその問題に対処し損ねたと批判した。また彼女は、多くの民主党議員が懸念している、トランプ氏とその家族が支援する仮想通貨プラットフォーム「World Liberty Financial」との関係についてもあらためて言及した。

「トランプ氏は自身の仮想通貨ビジネスを通じて、関税免除、恩赦、政府ポストといった“大統領の特権”を、外国政府や富豪、大企業から数億、あるいは数十億ドルと引き換えに売買できる効率的な手段を構築している」とウォーレン氏は述べた。「GENIUS法を可決することで、上院はこの腐敗にお墨付きを与えるだけでなく、その拡大を積極的に促進することになる。」

「GENIUS法は抜け穴だらけで、消費者、国家安全保障、金融安定性に対する保護も不十分だ。」

トランプの署名まで到達する可能性は?

多くの民主党議員がクロージャーに賛成票を投じたとはいえ、記事執筆時点でも一部議員は、共和党側に対してGENIUS法の修正を検討するよう求め続けていた。この法案が上院で最終的に可決されるかは不透明であり、共和党がわずかに多数を占める構成のなかで、可決には一定の協力が必要となる。

5月に最初のクロージャー投票が否決された後、トランプ氏の「AIおよび仮想通貨担当官」であるデビッド・サックス氏は、ホワイトハウスはGENIUS法が超党派で上院を通過すると見込んでいると述べていた。下院では、ステーブルコインを規制する対案となる「STABLE法」が、5月時点で金融サービス委員会で審議中だった。