世界経済フォーラム(WEF)によると、米国の製造業界が、生産サイクル全体の複雑な課題に取り組むため、産業用メタバースの探求に注力している企業が増えている。
WEFが発表したレポートによると、米国の製造業幹部の92%がメタバースの様々なユースケースを探っているという。10個の業界の大手企業100社から収集されたデータを基にし、業界幹部が平均で6つの異なるユースケースを調査していることが示された。
WEFはさらに、産業界が新型コロナウイルスの影響に対応して「士気を高める」必要があるという要因がメタバースへの関心を引き起こしていると強調した。
「新型コロナウイルスのパンデミックからの回復中、技術的、マクロ経済的、社会的、企業間(B2B)顧客のトレンドが加速し、産業部門の成長に新たな課題と機会をもたらしている」。
このため、製造企業は生産サイクルを加速し、予測に基づく生産で効率性とコスト効果を向上させる方法を見つける必要に迫られている。

また、産業用メタバースの応用は、製品ライフサイクルの事前生産、生産、および生産後の各段階で利用できることを指摘した。これらの応用には、製品やサービスの設計、プロセスシミュレーション、工場設計と管理、製品テストと品質保証などの活動が含まれる。
「消費者向けメタバースの実用化はまだ進行中だが、産業用メタバースは実際の問題やビジネス上の必要性に沿って、実装によって推進されている」。
レポートによれば、情報技術と自動車製造業界が、産業用メタバース分野の先頭を切っているという。「自動車、エネルギー、ソフトウェアとプラットフォーム、航空宇宙と防衛は、産業用メタバースへの投資と活動で先行している」と報告書は述べている。
しかし、生成型人工知能(AI)の台頭により、産業用メタバースへの投資を続けることに躊躇している企業もある。
「この衰退は、生成型AIの出現によりメタバースが後景に退いたと考える者が多いためである」と指摘された。