米空軍(USAF)は、ブロックチェーン・スタートアップ企業のコンステレーション・ネットワークと契約を結んだ。コンステレーションが8月27日にプレスリリースで発表した。同社の技術を使い、分散型でのデータ管理を進めるという。

今回の契約について、米空軍は発表の中で以下のように述べている。

「空軍研究所とAFWERX(米空軍技術ハブ)は、米中小企業技術革新研究プログラムのプロセスを能率的にし、スピードアップを図り、アプリケーションの可能性の幅を広げ、官僚的な付帯費用を削減する」

今回の提携を担ったコンステレーションの事業開発部門のバイスプレジデント、ベンジャミン・ディグルス氏は、米空軍には、ドローンや航空機、人工衛星など厳重なセキュリティが必要な多くのデータソースがあり、「統合された安全なデータを即座に照会できるようにする必要性は大きい」と述べている。

ディグルス氏は、異なるデータソースがそれぞれに繋がっておらず複雑で、これをまとめるには膨大な時間がかかるが、既存または将来のデータタイプを統合することが可能なスケーラブルで分散型のデータ管理プラットフォームを提供できるとしている。

「弊社は、空軍のデータパイプラインに暗号化による分散型セキュリティを提供するだけでなく、データソースのステータスの監査証跡とリアルタイムのオーバービューを作成する」

米空軍、サプライチェーンにも活用

また米空軍は、ブロックチェーン・スタートアップ企業SIMBAチェーンとも契約を結んだ。同社が26日に発表している。装備品のサプライチェーンに不可欠なデータの安全性を高める

米空軍は、3Dプリンターを使い、戦場で兵器の部品・装備を製造する「BASECAMPプロジェクト」を進めている。この3Dプリントに必要な情報をやり取りするために、SIMBA社の「SIMBAチェーン」が選ばれたという。敵対的な組織が重要なデータを取得または改変するのを防ぐのが狙いだ。

SIMBA社は今回の契約の意義について、次のように述べている。

「極秘の3Dプリントのプランが不必要な監視なしで前線部隊に送信できるようになる。車両の修理に必要なデータが第三者によって改ざんされないことを意味する。ブロックチェーンは、その分散化あれた性質から、理想的なアプリケーションだ。SIMBAは、ブロックチェーン開発者がBASECAMPのような複雑でセキュリティ重視のソリューションを実装するための簡素化レイヤーを提供する」

SIMBA社は、米軍向けにハッキングされないメッセージングとトランザクション・プラットフォームを開発するため、2017年に設立された企業。ノートルダム大学やIT企業のITAMCO社が母体となっており、国防高等研究計画局(DARPA)が支援している。

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版