英国政府は2月29日、犯罪に使用された仮想通貨を、4月末から有罪判決なしで押収できる法令文書を発表した

これは、「経済犯罪および企業透明性法」の2023年改正案の概要をまとめたもので、国家犯罪捜査局の権限を拡大し、疑わしい違法行為に関連していると判断された仮想通貨を、煩雑な法的手続きを経ることなく没収・押収できるようにする。

The Economic Crime and Corporate Transparency Act 2023. Source: U.K. parliament

さらに、当局は仮想通貨取引所やカストディアンウォレットプロバイダーから直接、仮想通貨を回収できるようになる。必要に応じて、仮想通貨を破棄することも可能だ。

破棄方法は明示されていないが、最も一般的なのは、バーンアドレスと呼ばれるウォレットに送金し、流通から取り除く方法だろう。

この法律は4月26日に施行される。

コインテレグラフは2022年9月、経済犯罪および企業透明性法案が提出されたことを報じた。サイバー犯罪、詐欺、麻薬取引など犯罪における仮想通貨の使用を厳しく取り締まるための当局の能力を強化することを目的として提出された。

海外に逃亡することで有罪判決を免れる個人も存在するため、逮捕前に犯罪に使用された仮想通貨の回収を可能にすることを目的としたものだ。

一方で、約46,000ドルの仮想通貨詐欺被害を受けた英国人男性は、英国当局が「英国居住者に対する仮想通貨犯罪への対応には不十分」である可能性を指摘する声も出ている。

同氏は、当局が盗まれた資金を取り戻すための適切な措置を取らなかったと主張している。

さらに、英国政府は今後6ヶ月以内に、ステーブルコインとステーキングを規制する新たな法律を可決する予定だ。

2月19日にロンドンで開催されたコインベース主催の仮想通貨イベントで、経済財務次官のビム・アフォラミ氏は、政府は次回の選挙(2025年1月28日までに実施)前に規制を完了することを目指していると明らかにした。