スイス大手銀行UBSは20日、顧客の納税回避を手伝ったなどとして、罰金約45億ユーロ(約5600億円)を支払うようにフランスの裁判所から命じられた。欧米の各メディアが報じた。犯罪行為で銀行に対して巨額罰金が科されるケースが増える中、犯罪の温床となっているのは仮想通貨なのか、銀行なのか、「正直な議論」を求める声が上がっている。

UBS 顧客の納税回避を手伝う

日経新聞によると、フランスの裁判所は、UBSが2004~12年の間にフランス国内の顧客にスイスで隠し口座を作るよう持ちかけ、納税回避の手助けをしていたと認定。「営業担当者をフランスに送り込み、狩猟愛好者の集まりやゴルフトーナメントなどで裕福な人物に声をかけていた」という。

罰金約45億ユーロは、フランスで過去最高額の支払い命令。UBSは直ちに告訴すると発表した。

最近、銀行に対してマネーロンダリング(資金洗浄)や制裁対象国への送金など違反行為で科される罰金は増えており、年200億ドル(2兆円)を超える規模だという

仮想通貨と比較して正直な議論を

UBSに対する巨額罰金ニュースに対して、「ポンプ」こと米仮想通貨投資会社モルガン・クリーク・デジタル・アセッツの創業者であるアンソニー・ポンプリアーノ氏はツイッターで反応。伝統的な金融機関の不正に対して厳しい見方を示した。

また自身が運営するポッドキャスト「Off The Chain」でポンプは、「スキャンダルであり、犯罪だ」と厳しく非難。「UBSの2018年通期の純利益とほぼ同額」の罰金を課したことに対して評価しつつも、今後裁判所はどのような防止策を提示できるのか、罰金以外の刑罰を科さないのか、まだ回答は得られていないと述べた。

その上でポンプは次のように続けた。

「既存の銀行の犯罪行為と仮想通貨を使って行われる犯罪行為の比較について、真剣にそして正直に議論していく必要がある

さらに同氏は、仮想通貨の利点は分散型システムを使った透明性の担保や改ざんへの耐性にあり、「法的執行機関は実は犯罪者が仮想通貨を使ってくれたほうが摘発しやすい」と指摘した。