世界有数の金融機関であるUBSのアクセル・ウェーバー会長は、同銀行がビットコインやその他の仮想通貨での取引を顧客に提供することはないと語った。3日にコインテレグラフドイツ版が伝えた。ウェーバー会長はスイスのメッセバーゼルでのスピーチの中で、仮想通貨に対するより厳しい規制を求め、「それら(仮想通貨)は透明性を欠くことが多く、そのために不正利用される可能性がある」と述べた。

 ウェーバー会長は、仮想通貨は良くても「非常に投機的な投資手段」であり、悪ければ「テロ、マネーロンダリング、その他の犯罪行為の資金調達を助長する」と述べた。ウェーバー会長の見解によれば、仮想通貨は現在のところ通貨としての性質を持っておらず、ボラタリティが高過ぎて、適切な支払いに使われることはまずない。

 しかしウェーバー会長は、仮想通貨の基礎となるテクノロジーであるブロックチェーンにはチャンスを見出している。「プロセスをよりシンプルで、早く、安全にするものは何でも、顧客、株主、銀行のすべてにとって有益である」。

 ウェーバー会長が仮想通貨を批判したのは、今回が初めてではない。昨年、会長はノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング日曜版に対して、ビットコインはお金ではないとして、次のように語った。

「お金には果たすべき3つの機能があるからだ。まず、支払い手段である必要がある。ビットコインはそのようなものとして普遍的に受け入れられてはいない。第2に、お金は価値の尺度であることだ。しかし、ビットコインには額面が書かれているわけではない。そして第3に、価値の保管に適している必要がある。ビットコインの価格は安定していないから、この条件も満たすことができない。ビットコインの根本的に不都合な点は、分配されるコインの数が限られているという点だ」

 仮想通貨に対して批判的なのはウェーバー会長だけではない。昨年11月には、ドイツ銀行がビットコインへの投資に関して顧客に警告を発した。今年の1月には、ドイツ銀行の元チーフエコノミスト、トーマス・メイヤー氏が仮想通貨を「悪い賭け」であり、未知のリスクをはらんだ投機対象だと呼んだ

 今週、投資銀行大手のゴールドマン・サックスは、顧客の要望が殺到しているため、ビットコイン取引を行うことが明らかになっている