米政府は2月28日、2016年にビットフィネックスからハッキングされた資金を保管していた2つの仮想通貨ウォレットから、約9億2200万ドル相当のビットコインを移動した。
これは、ビットコイン価格が2年ぶりに6万ドルを突破した同日に起こった。
アーカム・インテリジェンスのデータによると、最初のテスト送金はUTC時間の2月28日午後3時39分、1ビットコイン(当時約6万200ドル相当)で行われた。その後、米政府のウォレットから、2817ビットコイン(約1億7274万ドル)、0.01ビットコイン(約613ドル)、1万2267ビットコイン(約7億4846万ドル)の4回の送金が行われた。

米政府は、2016年にビットフィネックスから約11万9754ビットコイン(現在の価格で約74億ドル相当)が盗まれたハッキング事件を受け、これらの資金を差し押さえていた。
今回の送金は、ビットフィネックスから45億ドル相当のビットコインを盗み、マネーロンダリングを行ったハッカー、イリヤ・リヒテンシュタイン氏がワシントンD.C.の法廷で犯行の手口を証言した翌日に行われた。
ブルームバーグの報道によると、リヒテンシュタイン氏は2月27日に陪審員に対し、数ヶ月間、ビットフィネックスのシステムにアクセスし、同時にコインベースやクラーケンといった他の取引所の個人口座もハッキングしていたと語ったという。
リヒテンシュタイン氏とラッパーとして活動していた妻、ヘザー・モーガン(ラズレカンとしても知られる)氏は2022年2月に逮捕された。夫妻は45億ドルのビットコインのマネーロンダリング共謀罪で起訴され、うち36億ドルが押収された。これは歴史上最大の金融資産の押収だった。政府は2022年8月3日、さらに4億7500万ドル相当のビットコインを押収した。
2023年8月、夫妻はビットフィネックスのハッキング事件におけるマネーロンダリング共謀罪に有罪判決を受けた。
米Amazonは、夫妻の事件を題材にした映画の製作を開始したと報じられている。脚本は、2022年に夫妻を取り上げたニューヨーク・タイムズの記事にインスパイアされたもので、夫妻は「ビットコインのボニーとクライド」と呼ばれている。