これまで世界経済フォーラムが開催した会議の中でも話題に上ってきた仮想通貨が、今年のダボス会議でも存在感を示している。

 昨年はビットコインの価格が過去最高となる2万ドルの大台を達成し、同時にアルトコインも成長を続けているとなると、仮想通貨の未来が世界経済フォーラムの主な話題の1つとなっているのも不思議なことではない。

 コインテレグラフも現在ダボス会議に参加しており、仮想通貨に対する根強い抵抗感を感じた。

 こうした否定的な見方は、仮想通貨に対する規制の枠組みの欠如によるところが大きい。世界各地の有力な銀行や金融機関のうちのいくつかが仮想通貨への投資や支持に消極的なのも、同じ理由からだ。

 UBS銀行のアクセル・ウェーバー会長も、ブルームバーグのインタビューの中で同様の見解を示し、将来的な規制への取り組みが明確になるまで、同社は仮想通貨の採用や投資を顧客に薦めないと述べた。

 いつものごとく、活発で短気な仮想通貨コミュニティもダボス会議の行方に注目しており、仮想通貨に対する不信をあおったり否定的な態度を示すコメントには、反発の声が多数上がっている。

仮想通貨への不信をあおるダボス会議をツイッターユーザーが攻撃

 フェイスブックの前プロダクト成長マネージャーで現在フルティルトキャピタルのアントニー・ポンプリアーノ氏は、ダボス会議に漂うビットコインに対する感情を分析し、鋭く批判している。

 同氏は、ビットコインがいまだに不正な目的のために使われているという経済学者のジョセフ・スティグリッツの発言が、実際には逆に人々を仮想通貨の利用へ向かわせるのではないかと述べた。

 ロシア・トゥデイで『カイザー・リポート』を主宰する米経済コメンテーターのマックス・カイザー氏も、ダボス会議でのビットコインに対する否定的な発言の波に触れたが、自身が「革命」と呼ぶ動きを大手の金融業界が止めにかかるのはもはや遅すぎると豪語した。

 著名なアメリカ人投資家ビル・グロスは、ビットコインと仮想通貨の勢力拡大は、カネを支配しコントロールしている中央集権的な組織から人々が逃げ出しつつあることの証左だと述べた。人々は政府を動かす支配者層よりも、テクノロジーを信頼しているように思われるというのだ。

ツイッターユーザーの CryptoWilson は、仮想通貨に対する国際通貨基金の厳しい規制を望むと表明したフランスのエマニュエル・マクロン大統領の動画をシェアしつつ、仮想通貨に対するネガティブな感情の高まりを強調した。

もはや無視できない

 感情論は脇に置くとして、経済界がもはや仮想通貨を無視できなくなっているのは事実だ。仮想通貨は今年のダボス会議の中心になっているし、それも当然なのだ。

 第68代アメリカ国務長官ジョン・ケリーが、今週初めコインテレグラフに対して語ったように、仮想通貨市場全体に投下された資本の莫大な額は、もはや仮想通貨を無視することを不可能にしている。

 コインマーケットキャップによると、現在の市場全体の時価総額は 5590億ドルにのぼり、1か月にわたる価格の乱高下の後でやや安定している。