ドナルド・トランプ政権で行政管理予算局長や大統領首席補佐官代行を務めた、ミック・マルバニー氏がヘッジファンドの運営を始めた。マルバニー氏は2014年から仮想通貨(暗号資産)ビットコイン(BTC)支持者として知られており、仮想通貨の実用的な規制を奨励している人物だ。

同氏のヘッジファンドはエクセジス・キャピタル(Exegis Capital)と命名。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスとのポッドキャストで発表された。マルバニー氏は、元スターリング・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネージャーであるアンドリュー・ウェッセル氏と協力する。

マルバニー氏の親ビットコイン姿勢の影響は?

2014年の「ビットコイン・デモデー」会議の中で、マルバニー氏は政府がじっくりと考えて、ビットコインを規制するための時間が必要だとの見解を示している。

マルバニー氏はビットコインは取引の媒介物や支払い手段となるポテンシャルがあると考えており、当時、以下のように述べていた。

「私の関心は、政府がビットコインの可能性を抑制するような方法で、あまりにも早く行動しないことを確認することだ。ビットコインは取引の媒体物、さらに取引ツールとしての可能性があると考えているため、政府がビットコインの成長を遅らせるような決定を早期に下すのを見たくない」

以来、マルバニー氏は継続的に政府に対し、仮想通貨市場を適切に規制することを奨励してきた。マルバニー氏が大統領首席補佐官代行に就任した時には仮想通貨業界でも肯定的に捉えられた

ただ、現在のところ、エクセジス・キャピタルが仮想通貨市場に関与するかはまだ不明だ。

最近、ビットコイン市場には機関投資家の流入が急増している。

直近では、フィデリティ・インベストメンツがビットコインファンドの運用を米証券取引委員会(SEC)に申請した。既報の通り、フィデリティ・インベストメンツのピーター・ジュバー社長は、最低投資額10万ドルのビットコインインデックス商品のためのフォームDを提出した。

フィデリティは以前、「ビットコイン投資のテーマ:野心的な価値の保存」と題した論文の中でビットコインは価値の保存としての性質を持っていると指摘した。

「多くの投資家は、ビットコインが価値の保存手段の特性を持っているという点で、野心的な価値の保存手段であると考えているが、まだ広く受け入れられていない」

ビットコイン市場での機関投資家の活動が活発化していることは、より多くのヘッジファンドが仮想通貨市場に参入するかという憶測を呼び起こす。

すぐに仮想通貨市場に参入する可能性は低い

マルバニー氏は政権とのつながりから、ビットコインや仮想通貨をすぐに積極的に検討する可能性は低いと考えられる。

マルバニー氏は大統領首席補佐官代行ではなくなったが、北アイルランド問題担当の特使を務めている。トランプ政権がビットコインに否定的な姿勢をとっていることを考えると、エクセジス・キャピタルが仮想通貨へのエクスポージャーを求める可能性は、少なくとも当分の間は低いだろう。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン