米国下院金融サービス委員会(HFSC)の幹部らは、ドナルド・トランプ大統領と暗号資産業界との潜在的な利益相反をめぐり、デジタル資産の規制方法について共通の見解を見出すことができない状況にあるようだ。

6月4日の公聴会で、同委員会の筆頭理事であるマキシン・ウォーターズ議員は、法案に明確な規定がない場合、トランプ大統領がデジタル資産市場の明確化法(CLARITY法)を利用して暗号資産で「現金化」する恐れがあるとの懸念を改めて表明した

カリフォルニア州選出のウォーターズ議員は、トランプ氏が主要ミームコイン保有者向けに開催したディナー(参加費は約1億4800万ドル)を例に挙げ、「米国民の資産をトランプ氏のデジタルウォレットに入れる」ような市場構造を作りかねないと指摘した。

「この拙速で過度に複雑な法案は、現在の暗号資産市場ですでに蔓延している投資家被害をさらに増大させる」とウォーターズ氏は提案中のCLARITY法を批判した。

「最もリスクの高い活動が広範に免除されており、投資家は資産が消失したときに助けを求める相手がいない。国家安全保障を危険にさらし、暗号資産犯罪者への罰則もない。」

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Rep. Maxine Waters addressing US lawmakers on June 4. Source: House Financial Services Committee

CLARITY法は、5月29日に共和党議員が3人の民主党議員とともに提出した超党派法案として紹介され、暗号資産業界の「ルール」を整備しようとするものだ。

一方、民主党議員の多くは、トランプ氏が家族ぐるみで支援する暗号資産プラットフォーム「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」やその他のデジタル資産投資との関係を調査するよう求めている。これは、ステーブルコイン規制や市場構造法案の審議と同時に行われている。

「現時点で、デジタル資産を規制する連邦レベルの枠組みは存在しない」とHFSCのフレンチ・ヒル委員長は6月4日の公聴会で述べた。「証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)のいずれも、デジタル資産に関して明確な管轄権を持っておらず、投資家や起業家は不確実性の中に置かれ、イノベーションが妨げられている。」

公聴会で証言を求められた証人のうち、元CFTC委員長のロスティン・ベナム氏、元SECコミッショナーのエラド・ロイズマン氏、ユニスワップ・ラボのチーフ・リーガル・オフィサーであるキャサリン・ミナリク氏は、冒頭陳述でトランプ氏の潜在的な利益相反問題には触れなかった。これに対し、元CFTC委員長のティモシー・マサッド氏は、トランプ氏の暗号資産活動が国家安全保障上の問題であり、業界に「汚点」を残すものだと指摘した。

「現時点では、大統領が国家の利益のために動いているのか、それとも私利のためなのか判断できない」とマサッド氏は述べた。「この問題に取り組まなければ、業界の枠組み作りを進めることはできない。」

5月、ウォーターズ議員は、大統領、副大統領、議員およびその家族が暗号資産業界に関与することを明確に禁止する法案を提出した。この法案は、トランプ氏が自らのゴルフクラブでミームコインディナーを主催したのと同日に提出された。ホワイトハウスは、このイベントが「個人の時間に行われた」と主張したが、トランプ氏は米大統領印章のついた演台でスピーチしていた。

同じ6月4日には、下院農業委員会でもデジタル資産の枠組みに関する公聴会が開かれた。筆頭理事のアンジー・クレイグ議員は、トランプ氏が機密情報を利用してミームコインなどで私利を得る可能性を挙げ、「トランプ氏が暗号資産法案の審議を一層困難にしている」と指摘した。  

下院・上院で審議中の暗号資産法案

上院では、ステーブルコインを規制するための「米国ステーブルコイン国家イノベーション確立法(GENIUS法)」が5月に重要な採決を通過し、全院での審議が可能となった。一方、CLARITY法は5月29日時点で下院金融サービス委員会で審議中だ。しかし、いずれの法案も、トランプ氏の暗号資産利害関係への明確な対応を盛り込まない限り、民主党議員などからの反発が続く可能性がある。

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