ワシントンD.C.で、401(k)退職年金口座への仮想通貨導入を巡り、仮想通貨業界と労働組合の対立が深まっている。

論争の中心は、退職年金口座が仮想通貨へのエクスポージャーを持つことを認める市場構造法案だ。労働組合側は「労働者を過度な投機リスクに晒す」と強く反発している。米上院銀行委員会に12月12日に送付された書簡で、全米教員連盟(AFT)は、仮想通貨は年金や退職貯蓄にはボラティリティが高すぎると警告し、労働者が大きな損失を被る可能性を指摘した。

しかし、この書簡は仮想通貨投資家や業界関係者から反発を呼んだ。ある仮想通貨投資家は「AFTは仮想通貨の市場構造法案に関して、論理的整合性が最も欠如した、最も無知な主張を展開してしまった」とXで痛烈に批判した

キャッスル・アイランド・ベンチャーズのパートナー、ショーン・ジャッジ氏は、市場構造法案は監督強化とシステミックリスク低減につながると反論。さらに、長期的にリターンの高い資産クラスへのアクセスを年金基金に提供するものだと主張した。

コンセンシスの法律顧問ビル・ヒューズ氏は、AFTの反対姿勢は政治的動機によるものであり、民主党議員の反対に同調するものだと批判した

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退職年金口座で保有されている資産. Source: ICI

退職年金ポートフォリオへの仮想通貨導入の是非

仮想通貨を退職年金に組み込むことを支持する人々は「金融の民主化につながる」と評価しているが、労働組合は規制緩和に強い懸念を示している。

AFTのランディ・ワインガーテン委員長は12月12日、「無規制でリスクの高い通貨や投資に年金や退職貯蓄を投じるべきではない。仮想通貨でもAIでもSNSでも、無法地帯のようなものは私たちに必要がない」と述べた。

AFTは米国の約180万人の教員や教育関連専門職を代表する全米最大級の教職員労働組合だ。

非営利団体のベターマーケッツも、仮想通貨はボラティリティが高すぎ、予測可能で低リスクの運用を目指す年金投資には不適合だと指摘している。

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BTCとETHと他の資産とのボラティリティ比較 Source: US Federal Reserve

さらに10月には、米国最大の労働組合連合であるAFL-CIOも、市場構造法案の特定条項に反対する書簡を議会に送っている。AFL-CIOは、仮想通貨の高いボラティリティは年金基金および金融システム全体に「システミックリスクをもたらす」と警告している。

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