10日に仮想通貨(暗号資産)ビットコインの価格が急落したことで、世界最大の仮想通貨取引所バイナンスのトレーダー、AthenaBank氏はショート(売り)取引が不当にカットされたと主張している。
「レバレッジ解消?私が投資額の7倍を稼いだ後、バイナンスは私のショートをクローズした。何が起こっているのか、私のショートはどこにあるのか。BTCは8000ドルまで下がった。この差額は誰が払うのか」
ただ、仮想通貨取引所によるショートのクローズは計画的に行われている。このプロセスは「オート・デレバレッジ」と呼ばれている。
「オート・デレバレッジ」とは?どのようにカットされるのか
先物市場ではトレーダーは負債やレバレッジを利用してより大きな資本の取引を行う。例えばバイナンスでは125倍の取引が可能だ。ユーザーが1000ドルを持っている場合、最大で12万5000ドルの取引ができる。
仮想通貨取引所の役割は買い手と売り手の注文を一致させることだ。トレーダーAが9500ドルでビットコインを売りたいとした場合、取引所は9500ドルで買おうとするトレーダーBを見つける。
問題はこうした時にビットコインの価格が急激に上昇、もしくは下落した際だ。下落の際にトレーダーがビットコインを売ったりして価格が急激に下落すると、オーダーブックのバランスが崩れてしまう。
オーダーブックに大きな価格差が起きると、次々と清算が生じ、ビットコインの価格が異常に急落する可能性が発生する。過去には3月12日にビットメックスで3600ドルまで暴落した。
ビットメックスやバイナンスなど大手先物取引所はオーダーブックのバランスを保つために「オート・デレバレッジ(レバレッジ解消)」と呼ばれるシステムを採用している。保険金が十分に損失をカバーできない場合、残りの清算をカバーするためにショートをカットする。
(出典:AthenaBank「オートデレバレッジの例」)
このオート・デレバレッジについてバイナンスは以下のように説明している。
「トレーダーのアカウントサイズが0未満になると、損失を補うために保険基金が使われます。しかしながら、ボラティリティが異常に大きい時は、保険基金では損失を補填しきれないことがあります。それを補うためには、オープンポジションを減らさなくてはいけません。これは、各ユーザーは自身のポジションが減らされるリスクがあることを意味します。ポジションを減らす順番はあらかじめ決められており、まずは最も利益があるトレーダーと最もレバレッジが高いトレーダーが対象になります。」
75〜125倍のレバレッジを使用しているトレーダーは多くの場合、最初にトレードのポジションが減らされる可能性が高いというわけだ。
ビットコインはそのほかの伝統的な資産と比べて著しくボラティリティが高い。そのため、仮想通貨市場では頻繁に発生している。
ビットコインの価格が短期間に急速に方向性を変えてしまう傾向があるために取引所が市場のバランスを維持することが難しくなっている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン