去る7月4~5日に汐留で開催された仮想通貨イベント「TokenSky(トークンスカイ)」が閉幕した。海外発の業界イベントブランドだが、日本での共催はオンラインゲーム開発を手がけるアソビモ(東京・豊島区)。コインテレグラフ日本版は今回、同イベントにおける講演やレセプションに潜入し、ブロックチェーン界隈の多様性を目の当たりにした。

初夏の汐留。築地に隣接する会場には、世界各国から来た出展企業の担当者と、日本人参加者で溢れていた。

「トークンスカイ」は海外発のブロックチェーン・イベントだ。国内における業界の発展を案じたアソビモの近藤克紀代表取締役の肝いりで共催した。

 (参考記事「グローバルブロックチェーンイベント「TOKENSKY」が7月4〜5日に東京で開催(日本最大規模)」)

4日、5日の来場者数はあわせて2500人超。世界中の20カ国以上からの参加があったという。

中国の出展企業に話を聞くと「日本で他の業界イベントにも参加したことがあるが、今回は特に日本人の観客が多かった」。

一方で、60社以上もの海外プロジェクトがブースを出しており、会場内からは色んな言葉が聞こえてきた。

現在日本では規制強化の流れの中で業界全体が元気がないが、こういった海外のブロックチェーン企業から元気をもらった人もいるはずだ。

海外の参加者を交えたパネルディスカッションでも、日本には「先進的なカルチャーやマーケットがあるほか、トップ企業がこの(仮想通貨)分野に参入しようとしている」と持ち上げる声が聞かれた。

実際、規制や仕組みの整備をポジティブ材料と受け止める声は多く、今後の日本の動きに期待が集まっているようだ。

Gumi國光社長「ブロックチェーン・ファーストのプロダクト開発重要」

5日午後には仮想通貨・ブロックチェーンプロジェクトへ投資する「クリプト・ファンド」を最近立ち上げたgumiの國光社長が登壇。ファンド設立の狙いや、今後の仮想通貨・ブロックチェーン業界の展望について語った。

國光社長は、スマホでのゲーム開発や、VR/AR分野での投資や開発の経験から、ブロックチェーンにおいても、「ブロックチェーン・ファーストでのUIやUXを発明したところが大成功するだろう」と展望を語る。スマホやVRでも既存のものを移植するのではなく、スマホ/VRならでのサービスが成功したと振り返る。

ブロックチェーン・ファーストのプロダクトをいかに作ることができるか。それが今後のブロックチェーン分野の発展において重要」(国光社長発言)

そのためには、ファンドやインキュベーションの取り組みを通じて様々なスタートアップで情報・経験を共有していく「グローバルなエコシステム」の構築が重要と強調。これにより開発のスピードを上げることができると指摘した。それも今回のファンドの狙いの1つだ。

ユースケースの重要性

また、現在のスタートアップはプロトコルやコンセンサスのレイヤーに集中しすぎではないかと、國光氏は指摘する。

ブロックチェーンが普及するには、実際のユースケースが重要になると語る。

ブロックチェーンの一番最初のユースケースが、『通貨』になってしまったことで、ミスが許されなくなってしまっている」と話す。

パソコンやインターネットにおいても、Techの進歩はゲームが絡んでいたと指摘し、ブロックチェーンのユースケースとしてもゲームの重要性が増すと指摘する。

ブロックチェーンへの挑戦はまだ始まったばかりだが、ブロックチェーンはゲーム業界にとって意味が大きいはずと見る。

ブロックチェーンのデータはコピーすることができず、トレード可能なのが大きな特徴だ。これにより資産性を持つことができる。現在でもカードを集める形のゲームが大きな人気を集めているが、そういったゲーム内のカードやアイテムがトレード可能になり、改ざんや複製が不可なことで資産性を持つことの意味は大きい。

「ちょうど10年前、アマゾンのAWSがサービスを開始したけどその時の主要なお客さんはゲーム会社。とにかく当時のAWSは落ちまくっていて、それをAWS側と一緒に解決してきたプロトコルレイヤーのスケーラビリティの問題はクラウド業者が過去10年でやってきたことと一緒。シャーディングなどもそう。<中略>スケーラビリティやセキュリティの問題は早晩解決していく、重要なのはユースケースになる」。

また、「昨年までの仮想通貨業界は技術やユーザーに向き合うものというよりはマーケティングだけのもの」で、「これはITバブルの時と同じ状況だった」と話す。「これから本格的に役に立つプロダクトが作られる」と予想した。

国際色豊かなレセプション

海外のブロックチェーンでよく見られるのがイベント参加者限定の交流パーティーだ。

今回のトークンスカイでコインテレグラフ制作部も欧米、中国、韓国、ロシア等は幅広い国のプロジェクト担当者から話を聞くことができた。

前回の記事で紹介したが、アソビモの近藤社長が今回のイベントにかけた思いを次のようなものだ。

日本はマーケットとしては世界から注目されているが、プロダクト開発の観点からすると先進的とは言い難い。近藤氏は、日本居住者が海外の仮想通貨・ブロックチェーン技術の発展速度に触れずにいる現状に危機感を抱いたため、ブロックチェーンに関心のある人がビジネスのヒントを得られるようなグローバルなイベントを日本に誘致し開催しようと考えた。更に「広告の打ちづらい仮想通貨業界では、人との繋がりによるプロモーションが重要。オープニングツアーやカクテルパーティーで人脈作りをしてもらいたい」と話した。

参考記事「グローバルブロックチェーンイベント「TOKENSKY」が7月4〜5日に東京で開催(日本最大規模)

世界中に広がる仮想通貨コミュニティと繋がれる「トークンスカイ」。次のイベントにも注目だ。