ハッキングなどによって盗まれた仮想通貨が戻る確率は20%であることがロイター通信の特集記事で明らかになった。ブロックチェーンに取引を記録することで犯人の追跡を可能にするのが仮想通貨の大きな特徴の一つだが、実際はまだその役割を果たせていないケースが多いようだ。

記事によると、各国の規制機関が捜査対象にできるのは大規模な事件だけで、全てのハッキングを調査することは事実上不可能。このため仮想通貨を盗まれた投資家も諦めるケースが多く、約85%の犯罪が報告されていないのだという。

またロイターの取材に答えた米サイバーセキュリティ企業サイファートレースのCEOデービット・ジーヴァンス氏は、仮に仮想通貨取引所ハッキングなど大規模な事件だとしても、盗まれた仮想通貨が返ってくるのは20%だと指摘。その理由を次のように説明した。

「まず5カ国の司法機関の興味を惹きつけなければいけない。そして、十分な時間を与えて、捜査開始のため十分な証拠を集めなければならない。全ての関係機関が協力して情報を集め、書類手続きなどを終えるときにお金はすでに別の所に動かされている

ちなみに複数国にまたがった大規模な捜査を正当化するためには、数百万ドル(数億円)ほどが盗まれなければならないそうだ。

Autonomous Next とCrypto Awareによると、2012年から2018年前半の間に盗まれた仮想通貨の額は当時のレートで17億ドル(約1900億円)で、今だけで8億ドル(約900億円)。ハッキング件数は増加傾向にある。

最近の窃盗行為は仮想通貨取引所だけでなく、偽のウェブサイトやeウォレットの番号が入ったフィッシングEメールを使ったケースも多い。個人レベルでの被害が増えるにつれて、ますます捜査が難しくなり、泣き寝入りせざるを得ない投資家が増えるかもしれない。