世界最大のステーブルコイン発行者であるテザーが、2025年半ばまでに従業員数を倍増させる計画を立てていると報じられている。特にコンプライアンスチームの強化に重点を置くという。
この計画により、USDTステーブルコインの発行者であるテザー・ホールディングス・リミテッドは、従業員数を約200人に増やす予定だ。同社CEOのパオロ・アルドイーノ氏が8月8日のブルームバーグのインタビューで語った。
「私たちは非常に効率的であることを誇りに思っており、その状態を維持したい。なぜなら柔軟性を保ちたいからだ」とアルドイーノ氏は述べた。また、「人を雇う際には非常に慎重であり、経験豊富な人材のみを採用している」という。「市場が好調な時に何百人もの人間を雇い、市場が低迷するとすぐに解雇するシリコンバレーの企業のやり方が大嫌いだ」ともアルドイーノ氏は語った。
アルドイーノは、ステーブルコインの二次市場での違法目的での利用を監視するためには「より自動化されたさまざまなツール」が必要だと述べた。一次市場はユーザーがテザーと直接USDTを購入または償還する場所であり、二次市場は仮想通貨取引所や店頭取引プラットフォームを通じたものだ。
同社はUSDTの不正使用に対する監視を強化しており、違法活動を防ぐために当局と協力を続けている。5月には、ブロックチェーン分析企業のチェイナリシスと提携し、取引監視と制裁スクリーニングを強化した。
一方、テザーはほかの仮想通貨企業に比べて従業員が少ないにもかかわらず、2024年上半期には52億ドルという記録的な利益を上げた。

テザーは、ドルにペッグされたステーブルコインの供給量が2024年初頭から25%以上増加している。現在の循環供給量は1150億ドルで、USDTはステーブルコイン市場全体で約70%の圧倒的なシェアを占めている。
コインゲッコーによると、競合であるサークルのUSDCの供給量は344億ドルで、市場シェアは21%となっている。