台湾の中央銀行の楊金龍総裁は、同国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)パイロットに無利子デザインを推奨した。現地メディアBusiness Nextが先月29日に報じた。

楊総裁は今回の決定について、デジタル資産の預金に利子を支払う場合のCBDCは台湾ドル(NT$)の銀行預金の代替手段になる可能性があるとし、次のように説明した。「銀行の預金総額が減ると、それに伴って資金調達コストが増加し、その結果、消費者の借り入れコストが上昇する」。

楊総裁はさらに、金融不安の渦中では、CBDCが無利子の場合も「デジタル銀行取り付け騒ぎ」につながり、金融機関が急速に流動性危機に見舞われる可能性があると警告した。その一方で、楊総裁は電子決済ソリューションの需要が近年急増していることを認めた。

「台湾における決済全体に占める電子決済の割合は2017年の40%から2022年第1四半期の60%に上昇した。従って、台湾市民の中で、安全で、信頼性が高く、手数料がかからず、信用リスクや流動性リスクのない形態のデジタル決済ソリューションとしてCBDCに対する需要が高まっている可能性がある」

台湾は現在CBDCパイロットプログラムの第2段階にあり、中銀は消費者へのCBDCの流通を目的として、5つの台湾の銀行にCBDCを提供している。パイロットプログラムの結果を基に、中銀は次のステップに進むことになる。しかし、CBDCにおける分散型台帳テクノロジーは高頻度、大量の消費者取引に対応できない可能性があることがトライアルですでに確認されている。別の懸念として、停電が発生した場合に支払い機能が失われることが指摘されている。