チューリッヒに拠点を置くデジタル資産銀行シグナムでは、米国で仮想通貨に親和的な銀行が相次ぎ破綻したことを受け、新しい銀行パートナーを探している仮想通貨企業からの問い合わせが殺到している。

シグナムの最高マーケティング責任者であるドミニク・キャスリー氏は、様々な国に拠点を置く仮想通貨企業から、シグナムとの銀行取引を希望する問い合わせが多くなっているとメールでコインテレグラフに回答している。

「ここ数週間、現在の銀行業界の出来事が展開される中、UAEや中東からの問い合わせを含め、様々な地域からのオンボーディングの問い合わせが大幅に増加している」

キャスリー氏によれば、新しいオンボーディングの問い合わせは、主に仮想通貨投資の多様化を目指す投資家、資産運用会社、ブロックチェーン・プロジェクトから寄せられているという。シグナムでは顧客サービスサポートとコンプライアンスチームの規模拡大にさらに力を入れているとキャスリー氏は付け加えている。「これらの新しい顧客を迅速かつ完全にコンプラに準拠した方法で迎え入れるためだ」。

シグネチャー銀行、シルバーゲート銀行、シリコンバレー銀行は3月に相次いで破綻し、米国の仮想通貨企業は取引する金融機関を探すのに奔走することになった。

今回の出来事はスイスの銀行が新しい顧客と提携する好機となったが、キャスリー氏は、シグナムは米国の顧客を引き受けないという方針を堅持するとも述べている。

「シグナムは、私たちのコアターゲット市場に完全に集中できるように、2017年の創業時から米国のクライアントにサービスを提供しないことにしている」と、キャスリー氏は書いている。「それは創業時からの方針であり、その結果、私たちは米国の個人または団体をクライアントとしてオンボードしていない」。

シグナムとの銀行取引に関心を持つ企業が増える中、同社はスイスとシンガポールの2拠点と、それぞれの法域で完全に規制に準拠する戦略をとっていることがその理由であると述べている。

シグナムは最近、金融サービス規制庁から金融サービスの許可を得た後、アブダビ・グローバル・マーケットに仮想通貨銀行サービスの中東ハブを開設すると発表している。

中東での事業拡大に続き、仮想通貨を歓迎するスイスのデジタル資産銀行としての地位を確立するために、別の法域での事業展開を検討している。アブダビとシンガポールに加え、ルクセンブルクでもライセンスを取得しているという。