スイス金融市場監査局(FINMA)は16日、既存の金融市場規制法をイニシャル・コイン・オファリング(ICO)の規制に適用するためのガイドラインを発表した。これまで不透明だったスイス政府のICOに対する姿勢が明らかになったと言える。

 現在スイスではICOを規制する法律は無い。そのため、今後ICOを評価しどの法律を適用するかを決定するために、FINMAはICOで発行されるトークンを、「決済トークン」「ユーティリティトークン」「資産トークン」という3つのカテゴリーに分類するという。

 スイス政府はICO市場のポテンシャルを認識しているようで、「ダイナミックな市場と高い需要を鑑み、まず(ICOに)透明性をもたらすことが重要」と指摘している。

 FINMAのマーク・ブランソンCEOは、同ガイドラインがブロックチェーン技術をスイスで普及させる一助となるとする一方で、ブロックチェーン関連企業は「実証済みの規制の枠組みを回避することはできない」と説明。さらに「我々のICOプロジェクトに対するバランスの取れたアプローチにより、正規のイノベーターが投資保護関連法と金融システムの健全性に合致した形でプロジェクトを立ち上げることができる」とした。

 ICOを巡る法規制は国によってまちまちで、17年に国内のすべてのICOを禁止した中国が法規制の一方の極にあり、これに対してシンガポールやオーストラリアはFINMAの提案に似て、ICOをサポートするために策定された現行法に沿ったICOガイドラインを提供している。

 世界の大半のICO規制は、この比較的新しい資金調達法に参加するに際して詐欺に巻き込まれる可能性があることを、投資家に警告している。FINMAもプレスリリースの最後に、市場価格が乱高下することや、ブロックチェーン技術と交わされる契約の法的性質が不確かになりかねないことによるICOのリスクに注意を喚起している。