米証券取引委員会(SEC)が非代替性トークン(NFT)プロジェクト「ストーナー・キャッツ(Stoner Cats)」を告発した件に対し、SEC委員のヘスター・ピアース氏とマーク・ウエダ氏からは、プロジェクトの活動はファンクラウドファンディングであり、これはアーティストにとって一般的なものだとする反論が出ている

9月13日、SECはアニメーションシリーズ「ストーナー・キャッツ」を手掛けるストーナー・キャッツ2 LLC(SC2)に対し、NFTを用いた未登録の暗号資産証券の提供を行っていたとして告発した。ストーナー・キャッツ2 LLCは、SECからの停止命令などの措置を受け入れた。

SECは、NFTが二次販売が可能だとSC2からマーケティングされ、その価値が上昇することを期待させていたと主張した。さらに、SECは、SC2側が二次販売ごとに2.5%のロイヤルティを受け取ることになっていた点も指摘した。SECはまた、SC2が1つ800ドルで1万個以上のNFTを販売し、その収益をシリーズの資金調達に使用したことを強調した。さらに、SECによれば、少なくとも1万件の二次販売があり、その総額は2000万ドル以上だった。

しかし、SEC内部の全員が今回の執行に同意しているわけではない。SECの委員であるピアース氏とウエダ氏は、この活動はファンクラウドファンディングと見なすことができると反論し、「これはアーティスト、クリエーター、エンターテイナーの世界で一般的な現象だ」と主張した。

彼らはまた、SECがNFTプロジェクトに対して訴訟を起こすのではなく、明確なルールを設けるべきだと指摘した。「NFTプロジェクトに対して恣意的に訴訟を起こすのではなく、クリエーターやアーティストがNFTを使って創作活動を支援し、ファンコミュニティを築くための明確なガイドラインを設けるべきだ」と彼らは述べた。

また、彼らはストーナー・キャッツのNFTを1970年代にスターウォーズが販売したコレクタブル(収集品)と比較した。ピアース氏とウエダ氏によれば、当時玩具会社ケナーはアクションフィギアと引き換えできる「アーリーバード証明書」やスターウォーズファンクラブの会員権を販売していた。彼らは、こういったスターウォーズの証明書や会員権も投資契約にあたるのかと問題提起している。

SECの委員だけでなく、仮想通貨コミュニティのメンバーもSECの行動に不満を示している。

ユーチューバーのクリプトティーは投稿で、ストーナー・キャッツは番組制作のために資金を集め、実際に番組を制作したと主張した。彼女は、利益を期待せずに楽しみと番組の支援のためにNFTを購入したと述べた。

「アーティストは常に『私のアートを買ってください、それは宇宙で最も高価なアートになるでしょう』と言うことができるべきだ。アーティストが自分の作品の価値について派手な主張をすることを禁じると、世界は退屈になるだろう」と、ソラナの共同創設者であるアナトリー・ヤコヴェンコ氏はX(旧Twitter)で述べている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン