投資会社で、スタートアップエコシステムのポリエント・ゲームズのクレイグ・ルッソ氏は、ノンファンジブル・トークン(NFT)はスポーツ業界や金融サービス、資産の売却と移転に使われるようになってきており、特にゲーム業界では非常に人気の高いブロックチェーンのトレンドとなっていると指摘した。

非代替性トークンとも呼ばれるNFTは、ブロックチェーン基盤で発行されるもので、1つ1つのトークンが固有の価値を持つ。個人のプレイヤーのトークン所有権が保証されており、固有のアセット(資産)になるものだ。

ポリエント・ゲームズでイノベーションディレクターを務めるルッソ氏はコインテレグラフに対し、2017年に一世を風靡したブロックチェーンゲーム「クリプトキティーズ(CryptoKitties)」が発表されたことで、メインストリームの仮想通貨コミュニティの注目を得たことがきっかけになったと説明。

それ以来、NFT市場がすべてのデジタル資産の中で「最も魅力的な機会」の一つになったとルッソ氏は考えており、すでにアートやコレクション、ゲーム業界でも利用が増えていると話した。

ルッソ氏はゲームでのNFTの役割と人気の高まりについて、以下のように説明した。

「ゲーマーがブロックチェーンに惹かれる理由の一つに、ブロックチェーンを使うことでゲーム内のアイテムの真の所有権を得られるということがある。これは従来のゲームとは違う点だ。さらにブロックチェーンゲームはNFTやデジタルコレクタブルによって、ゲーマーがプレイ中に本物のお金を稼ぐことができるという新たな経済システムが構築されている。こうしたシステムに後押しされ、コレクターズ市場は3700億ドルに達している。」

NFTとDeFi

ルッソ氏はレンディングやフラクショナル取引といった「分散型金融(DeFi)」の独立した資産としてNFTが頭角を表しているとみている。

一方で現在NFTの普及に向けて直面している大きなハードルがあるという。

「一般の人々の視点と、大手メディアの両方が、NFTに関して理解されていないことが最大の問題だ。しかし、これまでに培ってきた反応や評価に基づいて、関心は日に日に高まっているように思う」

コロナ禍でのゲーム業界のNFT

新型コロナウイルスの感染拡大は人々のコニュニケーションや旅行、仕事の方法を変化させている。ルッソ氏は同様に「ゲーム業界全体の形も変えつつある」と指摘する。

同氏によると、2020年4月だけで米国の消費者が、家庭用ゲームに105億ドルを費やしたという。

「ゲームへの新たな情熱が、ゲーム株の急上昇を引き起こしている。人々がソーシャルな距離を置き続ける中で、こうした傾向は続くだろう。そして、プレイヤーがNFTやデジタルコレクティブを利用したブロックチェーンゲームを始めると、全く新しい、完全に没入感のあるゲーム体験となる」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン