2022年のFTX破綻は仮想通貨全体に衝撃を与えたが、特に大打撃を受けたのはソラナのエコシステムだった。

アムステルダムで開催されたソラナ・ブレークポイント・カンファレンスに登壇したソラナの共同創設者兼CEOのアナトリー・ヤコヴェンコ氏によれば、FTX破綻当時にソラナのブロックチェーンプ上で開発されていた複数のプロジェクトに対して懸念が浮上していたという。

「スタートアップのエコシステムについてより心配していた。チームがどれほど影響を受けているかはわからなかった」とヤコヴェンコ氏は語る。ソラナのネイティブトークンSOLは、FTXの破産直後に価値が大幅に下落し、2022年11月初めには36ドルで取引されていたものが、FTX破綻後の数日間で12ドルまで下落した。

ソラナのブレーンチームと複数の投資家は、被害の範囲を把握するために、製品、サービス、分散型アプリケーションを開発している数百のチームに連絡を取った。ヤコヴェンコ氏によると、ソラナベースのプロジェクトの約20%がFTXやアラメダリサーチから投資を受けていた。エコシステムのスタートアップでFTXに資金を預けていたのは5%だった。「これら企業が最もダメージを受けた。これらのチームは資金が消えるのを見た」とヤコヴェンコ氏は語る。

ソラナベースの仮想通貨インフラ企業コーラルを拡大するために約2000万ドルを調達していたアルマーニ・フェランテ氏がその悲劇に見舞われた。同氏によれば、自社がFTXに預けていた約1450万ドルを失ったという。

「フェランテ氏のような人々は、会社を再建するためにその失敗をエネルギーに変えた」とヤコヴェンコ氏は語る。

ヤコヴェンコ氏は、サム・バンクマン・フリード氏の事件ンお影響で、SOLの価値が急落するのを見るのは辛いことだったと認めているが、もっと苦しかったのはいくつかの開発チームが存続できなかったことだったという。 

「胸が張り裂けそうだった。トークン価格の下落は最悪だったが、それが仮想通貨だ。常に上下に動くものだ。しかし人々のチームが消え去ってしまうのは本当に痛ましいことだ。多くのチームが生き残ったことを本当にうれしく思う」とCEOは付け加えた。

ヤコヴェンコ氏によれば、ソラナのエコシステムには明るい兆しがある。FTXの影響がソラナをサポートする上での障害であったとして、いくつかの投資家から連絡があったという。

FTXの崩壊から1年が近づくにつれて、状況は落ち着き始めている。サム・バンクマン・フリード氏の注目を集めた刑事裁判は終了し、元CEOは7つの全ての罪状で有罪となった。判決の量刑は2024年3月に予定されている。

アムステルダムで開催されたソラナ・ブレイクポイント2023にハロウィンの仮装で登壇したヤコヴェンコ氏 Source: Breakpoint

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン