ロシアに亡命中のエドワード・スノーデン氏は26日、プライバシーの欠如がビットコインに対する実存的な脅威だと発言した。

スノーデン氏は、サンフランシスコで6月25日と26日に開かれていたカンファレンス「ビットコイン2019」にビデオ出演し、ビットコインやプライバシー、規制について話した。同氏は、米諜報機関NSA(米国家安全保障局)の個人情報収集の実態を暴露して指名手配となり、2013年よりロシアに亡命している。

スノーデン氏は、自由とは「許可を取ることからの自由」だと主張。「監視されない」、「記録されない」という権利があることで我々は実験をしながら生活できるし挑戦して失敗することができるとし、この自由は「すべての権利の基盤になっている」と述べた。

その上で同氏は、プライバシーの欠如はビットコイン、ひいては仮想通貨スペース全体に対する実存的な脅威だと指摘し、次のように続けた。

「なぜなら、プライバシーはビットコインの利用者にとって唯一の防御壁になっている。どの当局の管轄下でもどんな政治的な気まぐれからも利用者を守ってくれる」

またスノーデン氏は、「何も隠し事はないからプライバシーは必要ない」という主張を否定。中国やロシア、ベネズエラなどの人々にとっては切実であると語った。。

「あなたに隠しごとがなくても関係ない。プライバシーは、何かを隠すことではない。プライバシーは、何かを守ることだ。そしてあなたが守っているのは、自由でオープンな社会だ。あなたが守っているのは、何か違うことに挑戦する権利だ。」

ビットコインを決済手段というよりプライバシー保護の手段として注目する人は多い。プライバシーというと、「私生活の干渉」や「恥ずかしい個人の秘密の暴露」から個人を守る権利を指すケースがあるが、仮想通貨業界ではしばしば「自分の取引情報をコントロールするのは自分であって、他人ではない」という自分の自由を守るという意味合いで使われている。

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