ビットコインの闇サイト「シルクロード」の創設者で終身刑の判決が下されたロス・ウルブリヒト氏に対する「寛大な処置」を、米国のトランプ大統領に求める署名が6万件近く集まっていることが分かった。シルクロード創設者に対する捜査に対して不信感を持っている人が多いことが浮き彫りになった。

 現在収監中のウルブリヒト氏10日には、家族の助けを借りて運営しているツイッターアカウントで、次のような声明文を掲載していた。

 

「過去2、3週間の間にあなたたちが示してくれた愛と支援に圧倒されている。寛大な処置を求める署名にすでに5万5000人がサインしてくれた。勇気を与えてくれるコメント、ツイート、記事、注目度、あなたが私のために立ち上がってくれている事実…全てが私に力を与えてくれる。あなたたちの支援を受けて、私は署名が今後も増え続けてトランプ大統領の目の止まるようになることを望む。あなたが私の代わりにしてくれていることに対して、感謝します」

 執筆時点での署名した人の数は5万9320人。目標は7万5000人だ。ウルブリヒト氏の家族は、署名を集める理由について以下のように述べている。

 「ロスは、26歳の時に作った自由市場とプライバシーを重んじてウェブサイトを作った。このため仮釈放の可能性なしで終身刑を言い渡された。これは全く良心的な判断ではない。シルクロードは、電子商取引プラットフォームのイーベイのように、利用者が何を売買するか決められる。合法なもの加えて、少量の麻薬など違法なものが売られた。ロス自身はドラッグの取引をしておらず、他人が違法取引を行ったウェブサイトを作ったがために、刑務所で死ぬことを命じられている。これは他の多くの殺人犯や小児愛者、レイピストなど凶悪犯への罰より厳しい」

 またシルクロードに対する米政府の捜査に不透明な部分が多いという指摘もある。例えば、米国の政府機関であるマーシャル・サービス(USMS)は、ウルブリヒト氏から押収した3万2000ビットコインを2014年にオークションにかけたが、勝者を未だ公表しておらず、多くの批判が出ている。このオークションでは、シリコンバレーのベンチャー・キャピタリストであるティム・ドレーパー氏などが自ら獲得額を公表していた。

 シルクロードは、違法薬物を販売するオンライン闇市場として運営され、サイトのユーザー間の取引を決済するのにビットコインを使用していたウェブサイトだった。米連邦捜査局(FBI)は創設者のウルブリヒト氏を逮捕し、当時出回っていた全ビットコインの約1.5%を占める17万BTC以上を押収した。同サイトは13年10月に閉鎖された

参考記事
仮想通貨のオークション:押収されたビットコインの行方

米最高裁:終身刑が下された「シルクロード」創設者の再審請求を棄却